【視点】訪日観光客が急増 円安が引き金か、それともただの嬉しい特典か

© 写真 : PhotoAC/coji_coji_ac東京・渋谷を観光する女性
東京・渋谷を観光する女性 - Sputnik 日本, 1920, 27.04.2024
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27日の円相場は1ドル=158円台まで急落。SNS上ではハイパーインフレで紙切れ同然となったアフリカのジンバブエドルになぞらえて、「ジンバブ円」との言葉さえ登場した。ゴールデンウィーク(GW)中に海外旅行に出かける人からは悲鳴の声が聞こえてくる。一方で訪日外国人にとっては、日銀からの思いもよらないプレゼントとなった。
34年ぶりの円安のなか、インバウンド需要は増加の一途を辿っている。日本政府観光局(JNTO)によると、今年3月に日本を訪れた外国人の数は、単月では初めて300万人を突破。韓国、台湾、中国とアジア圏が上位を占めているほか、ロシアからも前年同期比で約3倍となった。
もう一つ注目すべき点は、第1四半期のインバウンド消費額が約1兆8000億円に達し、過去最高を更新したことだ。ここでもやはり円安が重要な役割を果たしていると考えられるが、実際はどうなのだろうか。スプートニクは観光客急増の要因について、旅行会社に話を聞いた。
露旅行会社「ネオツアー・ジャパン」のマネージャー、ヤロスラヴァ・ラピナ氏は日本への関心の高さを指摘し、世界中の誰もが一生に一度は日本を訪れたいと思っていると語る。

「日本を訪れる観光客が増えている理由はいくつかあります。まず、この国の観光魅力です。安全で、快適。面白いし、食べ物も美味しい。どこに行っても外国人に優しいし、異国情緒も満天で、東京、京都、大阪などの都市はもちろんのこと、外国人観光客には知られていない土地や村でも、息をのむような光景に出会えます。ホテルも食事も土産物も予算に合わせて選べる。日本旅行のリピーターが多いのは、一度訪れるともっといろんなものを見たいという気持ちになるからです。日本から帰った人がその強烈な印象を友人や知人に伝えると、それを聞いた人は自分も行きたいという欲求にかられます。ロシア人には欧米諸国のビザ取得は難しくなりましたが、日本の観光ビザは取りやすい。 おそらく円安は観光客の増加に何らかの役割を果たしているのでしょうが、それが急増の一番の要因だとは思えません。これは『クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)』の宣伝が功を奏したのだと私は思っています」

露旅行会社「サムライ」のセルゲイ・ヤシュモフ社長も同じく、円安が日本への外国人観光客増加の主な要因だとは考えていない。

「観光客の増加は、新型コロナウイルス感染症の大流行で日本が閉鎖され、訪日観光の需要が蓄積されていたのが理由でしょう。 観光客が円相場の変動に注視して、行くか行かないかを判断しているとは考えにくいです。世界中の大半の人はまだまだ日本は物価の高い国だという固定観念を持っています。ですから、レストランに行ったり買い物をしたりするのが、かなり安くなったというのは、旅行の嬉しいおまけに過ぎません。日本の魅力は珍しい色彩、文化、食べ物、人生哲学です。2030年までに、日本は年間4000万人ではなく6000万人もの外国人観光客を誘致しようとしています。2025年までの目標は、パンデミック前の最大値である3200万人を上回ることです。この数字を達成できるかどうかは誰にもわかりません。地震、津波、原発事故の影響など、観光業にマイナスとなる風評被害もあるからです」

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