スイス連邦工科大学チューリッヒ校とデンマークにあるオーフス大学の研究者たちは、明らかにされている1946年以降の全ての原発事故の総合的な分析を行った。これらの客観的な評価を出すのは難しいことがよくある。なぜならあらゆる国では、原発に関する事故やその原因についての情報を発表するのは原子力産業であり、原子力産業の代表者たちは情報の共有をあまり望んではいないからだ。
国際原子力機関(IAEA)も、事故や事象に関する全ての情報を発表するわけではない。なぜならIAEAには、原子力エネルギーを管理すると同時に、世界で原子力を普及する義務があるからだ。
そのため独立系研究者たちは、排出物ではなく、2013年の米ドルレートに換算した事故処理費用に立脚して表を作成した。表では、原子力分野の147件の様々な事象がランク付けされた。トップ5に入ったのは、フクシマとチェルノブイリ、1995年の「もんじゅ」火災事故、「ロッキーフラッツ」プルトニウム製造工場での火災事故(米国)、1957年の「セラフィールド 」原子力施設での事故だ。
なお研究者たちは、2000万ドル以上の損失をもたらした事故が、1970年代以降は滑らかに減少していることに気づいた。一方でフクシマやチェルノブイリのような壊滅的な事故の頻度は、一連の不測の事象および状況の結果である原因に関するこの傾向には従っていない。
しかし集められたデータは、このような事故が将来起こる確率を見積もる可能性を与えた。
研究者たちは、「今後50年間でフクシマは50パーセントの確立で繰り返される可能性があり、チェルノブイリは今後27年、スリーマイル島は今後10年の間に50パーセントの確立で繰り返される可能性がある」との結論に達した。