米中は北朝鮮をめぐる新たな安保理決議の具体的内容について合意できなかった。しかし、決議がより「強い」ものとなる必要があるとの考えでは一致している。ケリー長官は27日の会見で、そう述べている。
中国の王外相は同じ会見で、北朝鮮の核実験に対する対抗措置としての新決議は、地域情勢を緊張させてはならず、むしろ当事者を朝鮮半島非核化交渉のテーブルに立ち返らせるものとならねばならない、と述べた。
消息筋によれば、ケリー長官の北京訪問の意図は、王外相を説得し、最大限強硬な対朝制裁を引き出すことにあった。王外相はケリー長官との会談後の声明で、暗にそのような試みが無益であることを示した。政治学者のウラジーミル・エフセーエフ氏はスプートニクの取材に対し、次のように述べている。
「米国は、北朝鮮を孤立させる作戦に、中国を引き込もうとしている。もっともなことだ。中国は北朝鮮にとってほとんど唯一の、外部世界に向けて開かれた窓なのだから。ただ、はかない期待である。中国は北朝鮮封鎖に消極的だ。ましてや、厳しい圧力をかける気などない。北朝鮮向け人道支援の縮小ぐらいなら期待できようが、北朝鮮の崩壊など中国は望まないのだ。中国は米国との間に緩衝地帯が必要なのだから。韓国には米軍基地がある。そこに戦略爆撃機B-52が配備される計画もある。核兵器保管庫の建造も取りざたされているし、韓国の諸港湾に米空母が定期寄港するという計画もある。こんな状況の中で自ら墓穴を掘ることなどしない。中国にとっては、緩衝地帯が存続し、北朝鮮の現体制が存続することが大事なのだ。ただ、北朝鮮の対外政策を修正したいとは思っている」
中国と米国は、「北朝鮮の核実験を絶対に阻止する」という目標を共有している。しかし、それに向けたアプローチが異なっているのである。中国外交学院教授、ガオ・フェイ氏はそう語る。
「国際社会は北朝鮮の第四次核実験に反対するという点で一致しており、中国と米国の立場の間にも根本的不一致はない。ただ、米国と日本が、北朝鮮の核開発を停止させるにはまず制裁を最大限強化し、共同で圧力をかけるべきで、交渉はその後だ、という立場なのに対し、中国は、各当事者の憂慮を理解した上で、敵対的手段よりも六者協議を優先するべきだ、との立場であり、ここに相違がある。いま国際社会は制裁の是非を議論しているが、制裁が北朝鮮問題にどのような影響を与えるかという点でも、中国と米国の考えは異なっている。米国の立場は明快だ。全面的制裁をもって北朝鮮を窒息させる、というものだ。中国の立場は『抜本的』なものである。北朝鮮の核問題は冷戦の遺物である。してみれば、この問題は、朝鮮半島における南北対立が最終的に克服されてはじめて、最終的に解決される。こうして問題が『抜本的』に解決されてはじめて、北東アジアに秩序がもたらされ、6者協議が再開し、朝鮮半島に完全な講和がもたらされるのである。制裁の細かい点については中国と米国の間でまだ話し合いがなされるが、相互理解と相互譲歩を土台に意見の一致が達成される見込みは小さくない」
「カンボジアやラオスのような中国の影響力が非常に強い国々は、自分と関係のない紛争には口を挟もうとはしない。中国が南シナ海に人工島を建設することに大抵の国は不満を抱えているが、それでも多くの国が、対立は望まず、またその気もない。対立など誰も望まないのである。南シナ海のような弱点を突くことで中国に影響力を行使しようという米国の思惑も十分理解できる。しかし、中国に盲従するとは言わないまでも、中国の意見に従順な一部諸国は、中国との関係を悪化させるようなことはするはずがない。そうした国々は、甚大な被害があり得る、ということを理解しているのである」
ケリー国務長官のアジア諸国歴訪で、中国と米国の反目が露呈した。両国間の不一致が北朝鮮をめぐる国連安保理決議の採択をどれほど妨げるかについては予測を控えるが、核実験から1か月が経ってもいまだに決議が採択されていないという事実は厳として存在している。