2013.03.15 , 17:29

天皇陛下 「国民統合の象徴」から「国家元首」へ

天皇陛下 「国民統合の象徴」から「国家元首」へ

   「ジャパン・タイムズ」紙が伝えたところによれば、与党・自由民主党は議会に対して憲法改正を提案し、天皇が「国家元首」であると明記することに言及した。これはロシアの専門家らの間で大きな関心を呼んでいる。極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、自由民主党の提案について、現実的意味をもつものではないと指摘している。

   -今上天皇陛下は、ご健康上の問題により、実際上の国の運営に参加されることは難しいと考えられます。皇太子殿下は、ご経験がまだ不足しています。それに1945年以来、天皇が実際上の国政に参加するという伝統と経験が失われてしまったため、それをどのように戻すのかは分かりません。

   キスターノフ氏は、自民党の提案が国民の一致団結を目指す、もしくは現実の難しい問題から注意をそらすといった目的をもったものである可能性も排除できないとしている。現在日本は、諸隣国との領土問題のほか、経済問題、原発問題など、困難な問題に直面している。

   モスクワ国立国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ東洋学講座長は、自民党がこの改憲案を通すことは難しいだろうと指摘している。

   -改憲のためには衆参両院で3分の2の承認が必要であり、国民投票でも承認されなくてはなりません。しかし自民党が3分の2の議席をもつのは衆議院だけであり、それも公明党の支持を得た上でのものです。公明党は改憲案に非常に慎重です。ですから、自民党が自らの提案への支持を得ることはないのです。

   提案の本質について言えば、天皇の新しい役割についてではなく、天皇の地位の変更についてのものです。現行憲法においてすでに天皇は国家元首に類する権限を多く持っています。例えば、首相を任命することなどです。

   ドミトリー・ストレリツォフ氏は、自民党の改憲案が承認されたとしても、天皇に不可侵の権限があった戦前のシステムが復活することはないとしている。おそらく、戦後という時代の終焉を打ち出そうという象徴的ジェスチャーであり、日本を完全な独立国として位置付けるためのものだろう。安倍首相が米国の占領解放60周年を祝う行事を実施するのも同様の文脈で解釈しなくてはならない。安倍首相にとって、多くの問題に直面する条件下で、自らのポジションを強化するためには必要なのだ。

   ストレリツォフ氏は、円安誘導による輸出促進を目指す「アベノミクス」が成功することはないと見ている。外交においても、中国および韓国との問題のほかにも、米国との関係も容易ではない。日本政府は米国と中国との間で行われている安全保障対話を疑いの目で見ている。日本を素通りして米国が判断を下すのではないか、ということだ。

   しかし天皇の地位変更を含めた改憲は、革命的な意味を持つ可能性もあるとドミトリー・ストレリツォフ氏は指摘している。もし一連の改憲が行われるとすれば、第九条の「平和」条文削除をめぐる議論や、一院制への移行、首相公選制といったほかの変化についての議論への道が開かれることになるかもしれない。

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