しかし、もし掟の制作者がひとり米国のみなのならば、中国ばかりでない、インドや、アジアにおける米国の最も近しい同盟国である日本や韓国も、ルール策定の権利を否定されるのである。ロシアはこれについて言いたいことがある。プーチン大統領は16日、生放送番組「ホットライン」で、「米国には同盟国など必要ないのだ。彼らに必要なのは属国だ」と述べた。また北米研究所のパーヴェル・ゾロタリョフ副代表は、「ワシントンがどう骨折ろうとも、世界貿易の外形は変容するし、世界貿易の中心はアジアへと移っていく」と語っている。
「アジアは成長し、米国は経済で自分のルールを押し付けることがますます難しくなっている。米国が中国を抑止することは出来ない。中国に世界貿易の律法執筆を禁じたバラク・オバマの言葉は、反感と苛立ちの表れだろう。しかし多極的世界秩序の形成は続く。米国もいつまでも一極支配を維持し、経済・政治全般にわたる優位と影響力を維持できるわけではない」
オバマ大統領の議会宛教書が公開されたのは、折しも、中国の提唱するアジアインフラ投資銀行の設立メンバー57カ国のリストが公表された翌日であった。米国はこれに厳しく反対したが、甲斐がなかった。日本を除いて、経済規模の大きな国は、軒並み米国の呼びかけを押し切った。
ふと目を転じれば、現在米国議会が準備中であるTPPに関しては、参加を表明しているアジア太平洋地域15カ国は米国の貿易ルールを受け入れるのに二の足を踏んだままだ。