トルコ人よ、急いで理解せよ。トルコ帝国の復活、エルドガンのスルタンをあなた方は望むのか?

© AP Photo / Burhan Ozbiliciトルコのエルドガン大統領
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トルコのF16によってロシアの爆撃機が撃墜され、脱出したロシアのパイロットがトルコが支援するテロリストによって殺害された事件は、トルコのエルドガン大統領がおそらく予期した効果とは全く別の結果をもたらした。

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は、この件に関して次のような考察を表している。

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「エルドガン大統領は矛盾する証拠で混乱を見せ始めた。2日ほど前の発言は、『自国の安全を守ってロシア機を撃墜した。今後も同じように行動していく』と威張りくさって言っていたが、昨日、26日の時点では『トルコ人軍人は爆撃機がロシアのものとは知らなかった。知っていたら撃ち落すことはしなかったはず』と言っている。これは手柔らかに言っても嘘だ。スホイ24はトルコ領空で撃墜されたとしていたエルドガン氏の声明と同様に。

トルコ側から謝罪もなければ、こうした事態は繰り返さないという約束もないため、ロシアは適切な策をとった。シリア領内にロシアの新型の対空防衛、対ミサイル防衛S400を配備した。ロシア軍はシリアの支援を受け、ロシアのパイロットを殺害したテロリストらが潜伏する領域を焼け野原へと変え、シリアへ武装戦闘員や武器を投入し、石油や『IS(イスラム国)』が盗み出した富を運びだすルートの大半を遮断した。

このほかにロシアはトルコとの経済協力を次第にたたみはじめた。これは数万人、いやおそらく数十万人に上る一般のトルコ人に手痛い一撃を加えた。こういった人々の収入はロシアとの貿易やロシア人ツーリストに大きく依存しているからだ。正直なところ、この人たちのことはかわいそうだと思う。トルコのリゾート地で我々を温かく迎えてくれる人たちには親しみを覚えていたからだ。笑顔のトルコ人の売り子やホテルの従業員、ガイドは、まさか我々がもう一度トルコと喧嘩することになろうとは思ってもみなかっただろう。

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だがこうした一方でロシア人は知っていた。トルコ政府は貿易や観光業から得た税金を、チェチェンや中央アジア、シリアで戦うテロリストの支援に差し向けているということを。ここ1年は全くパラドックスに満ちた状況が出来上がってしまった。トルコ人のインストラクターが中央アジア諸国の軍事教練学校に赴き、主たる敵はロシアだと吹き込んでいたからだ。トルコ人将校らはIS戦闘員らがアサド軍相手に戦うことを助けた。ところがロシアは、ガスパイプライン「トルコ・ストリーム」を敷設するよう引き続き説得し、ロシアが費用を負担してトルコのために原発を建ててやろうとしていたのだ。その一方でロシアはIS戦闘員を、そしてISに強奪されたシリア産石油をトルコの発注者に輸送するタンクローリーを爆撃していたのだった。

ロシアのスホイ24機を襲撃し、そのパイロットを卑怯なやり方で殺害したことで全てのことが明るみになってしまった。ロシアでは、『エルドガン一味はシリアの戦争でぼろ儲けをしているだけではない。あの男のおそらくもっと大きな罪は、かつてのオスマントルコ帝国の復活を企み、シリア領をコントロール下におこうとすることだ』と公式的なレベルでささやかれるようになった。この夢をエルドガン氏はおびただしい数のトルコ人にすでに吹き込んだではないか。だからこそ、そもそもテロリストや殺人鬼と闘う作戦に参加していたロシア軍機の破壊をエルドガン氏は事実上、トルコのかつての領土復活の証拠ととらえたとき、トルコ人は歓喜のあまり『万歳!』と叫び、エルドガン氏の支持率は一挙に天を突いたのだ。

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だがエルドガン氏の支持率も、ロシアとの経済交流が停止され、ロシア人ツーリストが退いた結末をトルコ人が肌身に感じたとたんに、急落する可能性がある。そうなれば、エルドガン氏は自分の支持率を維持しようと、トルコの災いの元凶はすべてロシアだとして、ロシアは主たる敵だと公言するだろう。これをトルコ人が、ロシアのスホイ24がトルコの安全を侵し、武器ももたない可哀想なシリア系トルコ民族を爆撃したと信じてしまったように鵜呑みにすれば、エルドガン氏にこの先とるべき行動を要求するだろう。

もちろん望みはある。ロシアとの武力紛争など必要としていない米国や、トルコも加盟国であるNATOが帝国復活へのエルドガン氏の熱を冷ますだろうということだ。それがだめなら、これはロシアが手を下すしかない。だが望みはある。今、エルドガン氏の好戦的な演説に興奮してしまったトルコ人が酔いを醒まし、理解してくれるかもしれない。ロシア人はやっぱり敵であるより、観光客や商売相手としてきてくれたほうがいい。テロリストの支援や盗品取引が利益をもたらすのはほんの一握りの支配者であって、トルコ国民全体ではない、ということを」。

 

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