垂直農法は地球の飢餓問題の解決に役立つか?

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国連経済社会局によると、2050年までに地球の人口は25億人増えて97億2000人になるという。一方ですでに今、世界では7人に1人が飢餓や栄養不良に苦しんでいる。新たな農業技術は、世界の飢餓問題の解決に役立つだろうか?世界最大級のレタス生産工場を運営するスプレッド社の稲田信二社長は、寄与できるとの確信を示している。

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稲田社長によると、新技術とは栽培を自動化した垂直農法で、これは水耕栽培を基盤としており、屋内で人工光によって野菜や果物を一年中栽培することを可能とする。稲田社長は、垂直農法は農業の未来だと考えている。

非営利団体である垂直農法の事業者たちの国際的な協会には、米国やアジア諸国ならびに欧州諸国からおよそ180社が加盟している。一方で今のところ、事業を収益性のあるものにできた企業はわずかしかない。

日本のスプレッド社は2007年に京都府亀岡市にレタスの生産プラントを建設したが、黒字を実現したのはそれから6年後の2013年だった。亀岡プラントでは毎日2万株以上の新鮮でビタミン豊富なレタスが生産されている。しかしスプレッド社は、これまでの成果に甘んじず、さらなる発展を目指している。1年後の2017年には、つくば市に続いて日本で2番目に大きい学研都市である「けいはんな学研都市」で、スプレッド社の自動化された新たな垂直農法のレタス製造工場が稼働する予定。最新技術は、収穫量をおよそ3割増やすことを可能とする。

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しかし、これは始まりに過ぎない。スプレッド社は今後5年間でレタスの製造工場をさらに20工場建設し、日本のレタス市場の10パーセントを占める計画だ。

稲田社長が、通信社「スプートニク」のアンナ・オラロワ記者のインタビューに応じてくださった。

スプートニク:スプレッド社は2007年に京都府亀岡市において世界最大規模の日量21000株のレタスを生産する野菜工場を開始しました。何がきっかけとなって新しい技術をもとにした工場を作るようにことになりましたか?

稲田社長:この野菜工場をつくるきっかけには、日本の農業の問題が大きく関わっています。高齢化問題、後継者問題、そして耕作放棄地といった日本の農業の将来について大きな課題がありました。そこでこれらの問題を解決し、天候に影響されない農業をスタートしたいと考えておりました。

スプートニク:2017年までに3万株のレタスを生産する最先端野菜工場を建てる計画がありますが、それについて教えてください。

稲田社長:スプレッドの新工場の特徴は、まず水のリサイクルです。工場内で栽培に使用する水を98パーセントリサイクルしたシステム。その他に野菜専用のLED、それと育苗から収穫までを完全に自動化した新しい技術が導入されています。それによって一株あたりのエネルギーコスト(ランニングコスト)を30パーセント下げることに成功しました。

スプートニク:育苗から収穫まで完全に自動化した工場をつくることは本当に可能ですか?自動的生産のメリットと欠点について教えてください。

稲田社長:今回の新しい工場では、育苗から収穫までを完全自動化することが可能となりました。イメージ的にはロボットが栽培するというよりも、自動搬送とロボットの植え替え技術を一つにした自動化ということで、栽培棟内の完全な無人化は実現したということです。人の役割としては、収穫されたレタスをトリミングし、パッケージするという作業、その他、工場全体のマネージメント、工場をしっかりと管理するという仕事になります。自動化のメリット、良い点については、人件費が抑えられること、安定的に生産できること、衛生管理ができることです。デメリット(欠点)ではないのですが、自動化の技術開発やその自動化の導入コストが大きな課題となっていました。野菜工場の自動化が進むことによって雇用がなくなるということではないと思います。私としては、生産性が高まるにつれてその工場の効率が上がって工場が広がっていくことにより、全体的な雇用は増えてくると考えています。一つの工場あたりの人数は減っても、工場の数が増えることによって雇用は確保されると考えています。

スプートニク:レタス以外にはどんな野菜工場がありえますか?水耕栽培に基づいてレタス以外にどんな野菜の栽培が可能ですか?

稲田社長:レタス以外にも葉物野菜であれば、比較的つくりやすいと考えています。それ以外の野菜については水耕栽培ではトマトやイチゴ、パプリカなどはつくれると思います。あと最近ではマイクログリーンのようなベビーリーフ系の商品も多く生産されてきていると思います。需要が安定し、ニーズの高いほうれん草やベビーリーフはつくっていきたいなと考えています。

スプートニク:?物工場のシステムは地球の食料不足と飢えの問題を解決することができますか?

稲田社長:植物工場のシステムは、世界中のどこでも生産できる特徴があるのですが、食料不足・食料問題を解決するための直接的なシステムとしてではなく、露地栽培やグリーンハウスと一緒に効果的な食料生産を実現して、持続可能な農業が実現できるのではないかと考えています。

スプートニク:他の国で亀岡プラントのような工場を作るのは可能でしょうか?今まで他の国から具体的な提案はありましたか?

稲田社長:どこでも生産できるというシステムをつくるということで、海外のどんな国、どんな環境においても生産できる可能性はあるということです。現在、毎日10件から15件くらいの問い合わせがきておりまして、これは欧州、中東、アフリカ、アジア、北米、南米など様々なところから同システムの導入の検討という可能性について連絡がきております。ロシアからもきていました。

日本には現在、水耕栽培で野菜を栽培している中小企業がおよそ180社ある。そのうちの多くの企業が、レタスやその他の葉物野菜などを栽培している。水耕栽培でキュウリやトマトを栽培している会社はまだ少なく、日本では水耕栽培されたレタスが市場に占める割合もわずか0.7パーセントだ。しかし水耕栽培されたレタスは比較的価格が高いものの、高品質かつ農薬などが使われていないことから、消費者の間で高い需要がある。

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