モスクワの新空港、日本人旅行者獲得は地方便とビザ次第

© Sputnik / Emin Dzhafarovモスクワ第4の国際空港「ジュコフスキー空港」
モスクワ第4の国際空港「ジュコフスキー空港」 - Sputnik 日本
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5月30日、モスクワ第4の国際空港「ジュコフスキー空港」のオープニングセレモニーが行われ、メドベージェフ首相が新旅客ターミナルの発展プランを示した。空港が採算のとれる状態になるには、約7年かかるとみられている。

この新空港はかつての「ラーメンスコエ空港」が大幅リニューアルし、名前を変えたものである。ロシア非常事態省の航空部隊が主にこの空港を拠点として利用していた。貨物便はあったものの、旅客を乗せる定期便はなかったため、一般的にはなじみが薄かった。

ジュコフスキー空港には、キルギスの航空会社「エア・キルギスタン」が定期便を出すことになっている。初フライトは6月20日の予定だ。また、カザフスタンの航空会社も就航を予定している。アエロフロート傘下のLCC「パベーダ」は現在ブヌコヴォ空港を拠点にしているが、ジュコフスキー空港に直通鉄道(アエロエクスプレス)が通れば、拠点を移す可能性もある。アエロエクスプレスの名前は「スプートニク」になる予定だ。

日本を代表するロシア専門旅行会社である「ジェーアイシー旅行センター」の杉浦信也営業部長によれば、今のところ新空港のポテンシャルは未知数だという。モスクワから中央アジアにLCC等の定期便が就航するとしても、日本人観光客からすると、価格面でのメリットはあまりない。東京発モスクワ経由・中央アジア行きの航空券は往復で約7万円台から買え、モスクワへ単純往復するのとほとんど値段が変わらないためだ。キルギスの首都ビシュケクや、カザフスタンの第一の都市アルマトゥイといったところへ行くには、アエロフロートがやはり便利だ。

杉浦氏は「もし新空港から、アエロフロートがカバーしていない地方都市への定期便が安定的に就航すれば、日本人旅行者の利用の可能性が広がるのではないか」と話す。例えばペトロザボーツクが候補として挙げられる。ロシア最古の木造建築がある世界遺産のキジー島へ行くためには、ペトロザボーツクまで行き、そこから船に乗る必要があるが、モスクワからペトロザボーツクへ行くだけでも列車で15時間ほどかかる。列車に長時間揺られるのが厳しい人も、飛行機なら日帰りも可能になるかもしれない。

この夏、日本からロシア方面への観光客は、だいたい横ばいといったところだ。昨年11月のフランス・パリのテロ以後、国内大手旅行会社のフランスへのツアーは減っている。それに比べ、モスクワ・サンクトペテルブルグをはじめ、スイス、北欧、中欧方面の旅行需要は手堅い。

先月ソチで行われた日露首脳会談では、ビザの緩和についても話題にのぼった。安倍首相は、日本が査証緩和を戦略的に検討する中で,ロシアも重点対象の一つとしていることを明らかにした。

杉浦氏「今年7月から運用開始が予定されている、ウラジオストクの到着ビザの動向に注目しています。また、日露両政府で、観光査証の簡易化や、短期間の旅行ならビザなしにするなどの、踏み込んだ決断をしてくれればと思います。日本政府はインバウンド旅行者を増やしたい方針です。ロシアからのインバウンドは年末年始や桜の季節が特に多いので、それにビザの緩和が間に合えば、ロシアからの旅行者の流れが変わってくるでしょう。」

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