「憲法改正は不可避な災いか、不可避な喜びか?」スプートニクの世論調査

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先の参院選では自民公明の連立が圧倒的大勝利を収めた。これは有権者の大多数が安倍政権の路線を支持したことを示す。だが今回の賭けは単なる社会、経済改革よりもずっと高いものだった。なぜならこれによって憲法改正ともなれば、日本の誇ってきた平和主義的地位は危険に晒されるからだ。これに関しては世論は決して一枚岩ではない。

スプートニクは選挙結果が明らかになった翌日、「安倍政権は選挙後、憲法改正を遂行するか?」という世論調査を行った。その結果、回答者の約半数(49%)が自民公明の連立が勝利した以上、憲法改正は決まったも同然と考えていることがわかった。

これに対してロシア人専門家らの間からは憲法改正のプロセスはそう容易なものではないとの見方が示されている。モスクワ国際関係大学の東洋学で教鞭をとるアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使の見解は次のようなものだ。「9条改正を口にするのは時期尚早。安倍氏と連立を組んだ主要な同盟者らがこれには賛同しないだろう。公明党は9条に触れることには反対している。世論もまた政策の見直しの用意は無い。国会が改正を承認したとしてもまだ国民投票がある。国民の大半は9条改正には異議を唱えているのだ。」

スプートニクの世論調査では、国会での審議で憲法改正反対者と安倍氏と連立を組んだ他政党によって改正が阻止される可能性を信じていると回答したのはわずか5%にとどまった。それでも国民投票では改正は支持されないだろうと考えている人も3分の1に近い29%いる。

選挙結果は国民投票があろうがなかろうが、憲法改正プロセスにまったく影響しないと考えている回答者も17%。

スプートニクの世論調査の回答者の中には選挙が民主主義にのっとった公正なものであったかどうかについて、懐疑的な姿勢を表す人もいた。

このほか、世論は故意に政治的に操作される対象となってしまい、軍国主義化の支持者らが引き合いに出す地域の緊張化も人工的に煽られたものとする意見が示されている。

​一方で中国、北朝鮮脅威論は憲法改正支持者がその根拠とする唯一の理由ではないことも考慮しておかねばならない。自前の軍隊を創設せねば日本は喉元を締め付けられる米国との緊密な連合関係を退け、国際外交分野で自立したプレーヤーとなれないとする意見も挙げられている。

だが問題をこうした角度でとらえるならば、形式的な憲法改正ははたして必要かどうかという疑問もわく。なぜなら日本はこんにちすでに小さな領土を防衛する十分に発達した軍事力を有しているからだ。

パノフ氏は日本の現実を指摘し、「日本は武力を持っている。しかし!日本は原子力潜水艦や巡洋艦、空母、爆撃機、長距離ミサイルといった攻撃兵器を有していない。しか し、上記の武器全てを持ったとしても、国防の大きな安定化につながることはないだろう。逆に、日本の地理的位置と人口過密の観点から、日本はさらに脆弱に なった」 と述べ、結果としては「憲法を改正しようが、米国の日本コントロールは終わらない」との考えを示している。

唯一明確なのは憲法改正という問題は日本人社会にとっては最大の痛点であり、選挙後状況ははっきりするどころか、ますます先鋭化したということだ。選挙後、安倍首相の立場は著しく強固なものとなり、今や首相は意図的に自衛隊の役割強化を図ろうとしていることは間違いない。ただしこの強化が憲法改正という形を取るかどうかはまだわからない。安倍氏が米国からの政治的独立度を高める路線をさらに進めることも間違いない。これは対露関係にも現れている。ただし一度は「捕まえた」日本を米国がそうやすやすと手放すはずもない。

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