日本政府と沖縄県の裁判は一体どこへ向かうのか?

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22日、菅官房長官は、沖縄県当局の行動は違法だとして、確認訴訟を起こすことを決めた。提訴の根拠となっているのは、沖縄県が日本政府の是正指示に応じないことで、この指示は、沖縄県当局に対し、名護市辺野古地区の埋め立て承認取り消しに対する是正を求めるものだった。

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辺野古へは、御存知のように、米軍の普天間基地移設が計画されている。しかし沖縄の人々は、基地移転により、沖縄の希少動植物の生態系に取り返しのつかない損失がもたらされるとみなし、沖縄経済をささえる唯一の産業である観光業にとって痛手となると考えている。なお日本政府は、こうした現地の人々の危惧を無視していると言ってよいだろう。

今週沖縄では、住民達による抗議の座り込みがなされた。その理由の一つになったのは、上記のこと以外に、米軍が東村高江地区での6つのヘリパッド建設を再開した事だった。 ヘリパッドは、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイのために作られているが、この航空機が自分たちの頭上に落ちてくるのではないかという住民の不安は、根拠のないものではない。なぜなら、この輸送機は、これまでしばしば事故を起こしているからだ。

県当局と日本政府の間の軋轢は、もう大分前から深まっていた。事実上、沖縄に新しい県知事が就任するたびに、 中央政府に抗議する気分のうねりの中で、知事は、中央当局のやり方に反対する道を選んでいる。 こうしたことになる主な理由は、この島の歴史的な過去からきている。1945年以降沖縄は、米国の法律的管轄下に置かれ占領された。その当初から、島に米軍基地があることに対し沖縄県民は、一定の被害者意識を持っている。その際日本政府は、彼らの利益を考慮するよりむしろ、米軍の存在を根拠あるもとしてしばしば優先している。これについて、スプートニク記者ロシアの日本専門家の一人アンドレイ・フェシュン氏に、意見を聞いた-

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「1945年の敗戦後、そして米ソ冷戦の当初から、沖縄は、米国の巨大な軍事的進攻基地となった。日本人にとって、隣にそうしたものがある事は、おそらく気持ちの良いものではないだろう。しかし別の側から見ると、そこには米国の主要な核の傘があり、日米安保条約により米国は日本をそれで覆ってくれている。それ故1940年代から50年代は、多くの米国軍人がいたにもかかわらず、誰も原則的には、基地に関する要求は出さなかった。沖縄の住民自体、当時、はるかに少なかったこともある。なぜなら住民の多くは、島が戦場になったため亡くなってしまったからだ。沖縄戦は、太平洋戦争でも最も激しい戦いだった。 当時、住民の三人に一人が非業の死を遂げた。生き残った人達も、米軍基地やその近くで、レストランや商店、バーなど彼らにサービスを提供する仕事についた。そうした仕事をすることで人々は、どうにか生き抜いたのだ。

しかし1972年、沖縄は『返還』され、再び日本の一つの県となった。だが沖縄の米軍基地は、これまで通り残った。そして島の状況は心理的に、少しずつ、変わり始めた。それも日本人にとっても米国人にとっても悪い方向へ、それは変わり始めた。なぜなら、互いにイライラするような関係が始まったからだ。戦争が終わって十年が経っても米国人は、沖縄で我が物顔に振舞い、現地の人を、自分達より身分の低い植民地の原住民扱いした。あらゆる点で尊敬の気持ちを示さず、沖縄の人達を迫害した。それは大変ひどく醜いものだった。それ故1960年台半ばまでには、こうした状態は、沖縄の人々にとって絶対に受け入れがたいものとなった。抗議のデモが始まった。しばしば、米兵による強姦や殺人事件が、その理由となった。その際現地当局は、常に完全に地元住民を支持し、何らかの形で米国人を罰する必要があると考えたが、率直に言って、米国人は基地内から外に出されず、たとえ出されても最小限だった。

一方日本の中央政府は、沖縄の米軍基地の存在は、国の安全保障と結びついているとの立場をとり、時に、中央政府と県当局の対立は、首相が県知事と一対一で会うのを拒否すると言ったところにまで達した。しかし日本の法律は、かなり大きな権利を都道府県に与えている。現地当局の許可なく、例えば基地の移転といったことを実現するのは難しい。それ故、政府は、どんな場合であれ、中央と地方政府との間の紛争解決の道を探らざるを得ないと思う。」

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