「誘導ミサイル搭載済みの米国の巡洋艦と駆逐艦には、多くの種類のミサイルを収容・発射できるユニバーサルタイプのミサイル発射装置、90ミリ戦車砲M4が2機ずつ配備されている。基本的に、M41搭載の巡洋艦、駆逐艦は約80発のミサイルを発射できるが、これらミサイルの大部分はただの地対空ミサイルに過ぎない。なぜなら、これら軍艦の主な任務は、空母の護送、つまり、これら軍艦が保障する義務があるのは、対ミサイル防衛よりもむしろ空母の対空防衛なのだ。巡洋艦ないしは駆逐艦が攻撃能力を有するためにこそ、それら艦隊にトマホーク対艦巡航ミサイルが備え付けられているわけだ。しかしイージスシステムは、ミサイルが発射された時点での迎撃のためのものだが、迎撃を成功させるためにはイージス艦はミサイル発射地点から1000キロ以内の距離を保つ必要がある。これはつまり、ロシアの地理的遠さを念頭に置くと、米国の方へ発射される潜在的な可能性のあるロシアの大陸間弾道ミサイルを、イージスシステムがミッドコース段階で迎撃できる可能性は単にありえないことを意味する。
唯一潜在的な可能性があるのは、ロシア潜水艦からの弾道ミサイルを迎撃する試みだ。しかし、そのためにはまたもやすばやく潜水艦に1000キロ以内に近づかなければならず、やはり可能性は低い。それゆえ、ロシア潜水艦からの弾道ミサイルを米国のMDシステムが迎撃するという脅威はかなり仮説的な性格をもつ。さらに弾頭は、ミサイル防衛を突破する一連の兵器と、成層圏での探知・迎撃をかく乱する空洞のデコイで守られている。その状態のミサイルを100キロ以上上空で迎撃するなど話にすらならない。また他の防衛兵器使用の際には、迎撃はより低い高度でなされる」
「早期警戒衛星は確かに、大陸間弾道ミサイル迎撃においてある程度の成功を挙げることができる。しかし弾頭が複数に分裂し、増えた弾頭を対ミサイル防衛システムが安定してカバーし対処するようになるとすぐに、早期警戒衛星の戦闘使用の効率が極めて低まることは忘れてはならない。さらに、早期警戒衛星から届く情報はいかなる場合でも、少なくともあと1つか2つの衛星からの裏づけを必要とする。それゆえ、早期警戒衛星の役割は補助的な性格が強い。
ロシアは今日の時点ですでに早期警戒衛星なしで大陸間弾道ミサイル、弾頭の発射と軌道について信頼性の高いデータを手に入れることができる。これは「ヴォロネジ」警戒レーダー基地を使用するだけで十分だ」
また、ロシアでは2020年までの音速の6~7倍の速さで飛ぶミサイルの開発が予定されている。ロシアの「戦術ミサイル兵器」社のボリス・オブノソフ代表取締役が先日、こうした声明を表している。