アジア経済 トランプ氏の政策に対抗するか?

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トランプ米大統領は、米国経済にとっては多方面的な国際貿易条約は害をもたらすという発言を再三にわたって繰り返してきた。トランプ氏の保護貿易主義政策を背景にしながらも、東アジア地域包括的経済連携(ASEAN諸国10か国および豪州、インド、中国、ニュージーランド、韓国、日本が参加)の加盟国はまさにこのアジア太平洋地域の自由貿易の包括合意を2018年末までに締結しようと急いでいる。そしてこれがめでたく締結された暁には、東アジア地域包括的経済連携は世界の全人口の半分が暮らす、最も人口密度が高い諸国がこれに入ることになる。

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スプートニクは米国抜きの合意がどれほどの効果を発揮するか、また米国経済は果たしてこのことによって多くを失うことになるのか、専門家に見解を尋ねてみた。

サンクトペテルブルク国立大学、国際関係の専門家のグリゴリー・ヤルィギン氏は、アジア経済の米国市場への依拠はこの先も続くとの見解を持っている。

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アジア地域内の新たな経済連合はうまく機能するかもしれないが、米国との協力には代わりようがない。アジア最大の経済大国の日本、中国、韓国にとっては米国市場はあまりにも重要度が高く、これを拒否することは絶対にない。それに米国だって自ら、アジアで起きている経済プロセスから孤立しようとはしていない。トランプ氏は自分が始めた関税戦争を背景にしながらも、米国はアジア地域に新たな経済フォーマットを作る交渉プロセスに戻る可能性があるとの考えを表している。しかも米国のビジネスはアジア市場とのパートナーシップに狙いを定めている。それはまさにこの地域で経済成長が認められているからだ。このためトランプ氏はそれにふさわしい政治的瞬間が訪れた時には、アジア地域にしかるべき注意を向ける構えなのだ。

ヤルィギン氏は、現時点ではトランプ氏の行動は、自分の条件で新たな合意を結ぶフィールド固めにとどまっているのではないかとふんでいる。

米大統領は多方向的な連合ではなく二方向的な連合に絞っていることを隠そうともしていない。しかもそれをほぼ5年ごとに見直すという。つまり合意した連合関係はどれだけうまく機能しているかがわかるからであり、必要とあらば、それを破棄したり、新たな現実に合意を適応させ、新しく締結しなおすことができるからだ。

以前トランプ氏は自身のツィッターに「日本と韓国は米国がTPPに戻ることを望んでいるだろうが、自分にはこの取引は気に入らない。負う義務があまりに多く、それが機能しなかったとしても離脱する可能性が微塵もないからだ」と書いており、幾度も繰り返した文句であるが、自分は二方向的な取引の方がはるかに効果が高いと考えると指摘していた。

ヤルィギン氏は、日本、韓国は、おそらくトランプ氏のつきつける条件で米国との新たな合意に署名を迫られるだろうと見ている。

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トランプ氏の新たな経済戦略は長期的なものだ。米国ではますます大っぴらにトランプ路線が支持されている。トランプ氏の支持率はオバマ、クリントン両氏の任期2年目の終わりの時点よりも高い。これはつまり、トランプ氏が選挙公約に掲げた保守的な議題は雲をつかむようなものではなかったということだ。投票者に限らず、実業界のエリートらの間にもこれに対する需要がある。ある瞬間まではビジネスエリートらは、トランプ氏のポピュリズム的プログラムがどんな形で現れるかを見極めようと小休止状態を保っていた。ところが今、米国人エリートらはトランプ氏は自分たちに適切な存在であることにますます確信を深めているように見える。だから彼の支持率は、米議会内でも様々なロビーの中でも大っぴらに上がっている。トランプ氏は一層大きな自由と自らのパワーに確信を得ている。このためおそらく再選されるだろう。こうした条件下で国外のアジアのプレーヤーが米国の措置に対抗し始めても、これらは単に米国市場を失うだけだ。そして空いたニッチは米国内のメーカーが瞬く間に占めてしまうだろう。

ヤルィギン氏は、日本国内ではこのことは重々理解されていると語っている。

近い将来に我々は、アジア諸国が米国との経済関係の中で新たな現実に適応するためのマヌーバを目にすることになるはずだ。そしてこれを素早く行った者は将来、米国市場でより多く優位を獲得することになる。とはいえ、最初はそのために新税率である程度の金は支払うことになるのだが。おそらく日本は米国で新たな生産工場を開設するだろう。または米国は別の、例えばロボット技術などの産業部門に投資するよう日本に働きかけるだろう。

西側は集団的に、トランプ氏に代表される米国の保護貿易主義の経済政策に不満を示しているのに対し、日本はそうした論調は控え、遠目から、経済情勢がどう変わっていくかを見守る姿勢をとっている。 

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