平和条約は時間の問題ではなく柔軟性の問題 プーチン・安倍首脳会談に関する専門家の見解

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プーチン・安倍首脳会談 - Sputnik 日本
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東方経済フォーラム開幕前日の10日にウラジオストクで行われた、ロシアのプーチン大統領と日本の安倍首相による交渉の主要テーマになったのは、ロシアと日本の2国間関係の発展だった。今回の交渉は、両国首脳による既に22回目の会談で、今年だけでは2回目となる。

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プーチン大統領は報道向けの声明で、会談が建設的に行われ、協力の主要な方向となるのはエネルギーだと発表した。プーチン大統領は、2国間の商取引高は2017年に14%増加し、2018年1月~6月にはさらに20%増加したと指摘。「ロシア経済に蓄積された投資は20億ドルに達し、ほぼ100件の互恵共同イニシアティブ[・・・]が成功裏に実現されつつある」と述べている。また、「サハリン2」と「アークティックLNG2」の両プロジェクトへの日本による参加の可能性が研究されているとも付け加えた。

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両首脳の会談については、日本でも楽観的に評価され、2国間関係発展の一連の方向に関する前進が指摘された。安倍首相によれば、プーチン大統領との合意は、たとえ緩慢であるにしても、それでもやはり実現されつつあるという。これは、閣僚レベルでの外務・防衛担当省庁による2国間協議や、日本人がクリル諸島(千島列島)にある親類の墓を訪問できる新たな可能性、そして、もちろん、ロシアと日本の両国民の間の相互理解のために大きな利益をもたらす文化間交流のことを指す。今年5月には、モスクワのボリショイ劇場で、安倍首相がプーチン大統領とともにロシアと日本の交流年を開幕させた。この行事の閉幕にあたって2019年6月に日本を訪問するよう、安倍首相はプーチン大統領を招待した。この訪日は、6月28~29日に大阪で行われる20カ国・地域(G20)サミットと重なる。

世界経済国際関係研究所(IMEMO)アジア太平洋研究センター・日本経済政治部のヴィタリー・シュヴィトコ部長は、スプートニクとのインタビューで、今回の交渉に対する自らの評価について次のように述べている。

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「今回の会談の形式は、双方にとって関心があるあれこれの問題に関する首脳間における口頭による合意を記録するものだ。そして、ここでは2つのテーマが検討されている。平和条約と朝鮮半島情勢だ。後者に関して言えば、双方にとって課題は同一、つまり、半島における軍事紛争、特に核兵器の使用を伴う紛争を回避することだ。平和条約の締結に関しては、日本が要求しているまさにその島々の共同開発を実現することによって、相互の合意に基づき条約がもたらされる。このプロセスにおける動きは疑いなく存在している。つまり、定期的に協議が行われ、島々には既に日本のビジネス視察団が2~3回訪れ、まだ何らかの突破口というわけではないが、10月にはさらにもう1回が予定されている。だが、これらの島々で日本側のビジネス活動が構築されることになる法的基盤に関する立場の非両立性が原因で、このプロジェクト実現の具体的な決定さえ検討されていない。一方で、この非両立性はまさに、両国の政治的立場から生じている。そのため、これは時間の問題ではなく、双方の柔軟性、そして問題解決に対する双方の関心の問題なのだ」。

安倍首相にとって、平和条約は根本的に重要だ。首相自身もこのことを隠しておらず、平和条約問題を歴史的課題と呼び、現世代が生きている間にこの問題を解決しようとプーチン大統領に呼びかけている。これに対してプーチン大統領は、「瞬く間にこれを解決できると考えるのは[・・・]無邪気に過ぎる。しかし、ロシアも日本も満足させるような、そして双方の国民によって承認される結末を探求する用意が、我々にはできている」と述べている。

安倍首相 - Sputnik 日本
安倍首相 平和条約をプーチン氏と討議の意向
会談時、中国人民解放軍が参加する大規模な軍事演習「ヴォストーク2018」がロシア極東で実施されるにもかかわらず、プーチン大統領と安倍首相による会談の好意的な性格は明白なものだった。シュヴィトコ部長の見解によれば、「ロシアによる中国との総じて緊密な協力が行われているため、この演習は日本政府にとって意外な出来事ではなかった。そして、中国の軍事力増強が日本を不安にさせている一方で、ロシアにとってはこの面で中国の軍事力に対し提起すべきものは何もない。日本では、これがロシアによる対外戦略の避けられない一部分であるとの一定の理解がなされている」という。

両首脳は12日、東方経済フォーラムの総会で発言することになっている。そして同じ日、2人はワシリー・オシェプコフを記念した柔道の国際ジュニア大会を訪れる可能性がある。オシェプコフは、ソ連初の柔道家でサンボの創始者。武道の分野におけるロシアと日本の間のスポーツ交流の基礎を築いた。

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