「海で溶ける」プラスチック  どれくらい安全か?

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植物繊維とでんぷんを原料とし、海で溶けるプラスチックが日本で開発された。開発に成功した大阪大学大学院工学研究科の宇山浩教授(応用化学専攻)はスプートニクからの取材に、このプラスチックの環境への安全度と、さらに改善が必要な点について語った。

大阪大学は植物繊維とでんぷんから厚さ0.1ミリの薄い透明なシートを作製したことを明らかにしていた。 

作製されたシートは伸縮性があり、同じ厚みの通常のプラスチックに比べ、2倍以上の強度もある。

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宇山 浩教授は「強度が高いのは多糖類(セルロース、澱粉)の構造によるものと考えています。綿繊維も強度が高いので、今回開発したセルロース/澱粉も強度が高くなったと考えています。多糖類はポリマー鎖間に強い水素結合が出来ますので、それが一因かもしれません。プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン)と化学構造が全く異なります」と説明している。

研究者らは世界海洋のプラスチック汚染問題がこの開発によって解決されることに期待を抱いているが、実際そこまで安全なのだろうか? これに対して宇山教授は次のように答えている。

「全性に関するデータは取っておりませんが、セルロースは綿ですし、木材の主成分です。澱粉は炭水化物です。これらは自然と環境中(海、川)に流出していますが、それらによる環境被害の報告は無いと思います。そのため、安全と考えて下さい。」

今回の画期的な開発はさらなる改善の余地があるのかについては、宇山教授は 「改善点は多々あります。大学での基礎研究です。安価かつ大量に効率よく製造する技術はこれからの課題です。また、耐水性が上がったといっても、用途次第です。水中では強度は落ちます」と答えた。


海洋プラスチック

2019年初頭、調査隊が地球で最も深い場所である太平洋マリアナ海溝でプラスチックを発見した。海洋の大量ゴミとプラスチックの被害にあっているのは海の生物だ。

食品と混じったプラスチック粒子やその他ゴミは海洋生物を死に至らしめている。スコットランドではマッコウクジラの胃から100キロものゴミが見つかった。

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