大田昌秀・元沖縄県知事「基地問題は複雑怪奇になってきた」

© AFP 2023 / Toru YAMANAKA大田昌秀・元沖縄県知事「基地問題は複雑怪奇になってきた」
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先月9日、中断している普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設関連工事について、国と沖縄県の集中協議が終了した。国は、協議終了に伴い、工事を再開する姿勢を崩していない。翁長雄志沖縄県知事の国連演説は、そのような中で行われた。

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これに伴いスプートニクは、元沖縄県知事で、現在はNPO法人・沖縄国際平和研究所の理事長である、大田昌秀(おおた・まさひで)氏にお話を伺った。大田氏は1925年生まれ。沖縄師範学校在学中に鉄血勤皇隊に動員され、沖縄本島南部の激戦を体験した。知事職以外にも、琉球大学教授、参議院議員などを歴任した。

スプートニク「翁長雄志知事の国連演説についての評価をお聞かせください。これによって事態が改善する見込みはあるでしょうか」

「国際的に訴えるのは大事ですが、その前にやることがあります。仲井真前知事が基地を引き受ける、ということにしました。しかし第三者委員会を作り検討をしたら、その計画には欠陥がある、ということがわかりました。しかしそれから9ヶ月たってもまだ埋め立て承認を取り消しできていません。来月の中旬頃取り消す、ということを言っています。国際的に訴える前に、まずそれを取り消してから訴えたほうがもっと良かったのではないかと思います。翁長知事は、アメリカに行っても残念ながら、国務長官、国防長官、海兵隊総司令官といった権限を持っている人に面会したわけではありません。ですから、これでは問題の解決につながらないのではと思います。」

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「近頃は基地問題が非常に複雑怪奇になってきました。普天間飛行場を返還するということは、橋本総理と私の間で1996年に決めたことです。しかし96年からもうこれだけの時間がたっているのに、まだ解決できていません。普天間飛行場に代わる基地を名護市北部(辺野古)に作ろうとしているわけなんですよね。1995年の9月にアメリカ兵による少女暴行事件が起きました。そうすると8万5000人の沖縄県民が抗議大会を開きました。日本政府とアメリカ政府は沖縄の住民の怒りを静めるために、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)を作り、日米それぞれが報告書を作ったわけです。その日本側報告書によれば、普天間飛行場を移設したら規模を5分の1に縮小するといっているわけです。建設期間は5年から7年、建設費用は5000億円以内、としました。ところがアメリカ政府は、建設期間は少なくとも10年以上かかると。それからオスプレイを24機配備するので、これが安全に運行できるようにするためには2年間の演習期間が必要であると。したがってトータルでは少なくとも12年かかるとしました。建設費用は1兆円かかるということです。それから、一番問題なのは運用年数40年、耐用年数200年になるような基地を作るとはっきり書いてあるわけですよ。だから僕は、耐用年数が200年にもなるような基地を作られたらたまったものではないと言って、すぐに拒否したわけです。それが今日に至って未解決のままです。政府はこれを作ろうと強行して、今必死になっているところです。それで沖縄の住民は怒って、日本政府についていたら植民地扱いされるから、ということで日本離れが進んできました。その結果、最近、独立論が唱道されるようになってきています。」

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