エーザイ・ロシア代表真砂野氏に聞く、急成長の秘訣

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エーザイ・ロシア代表真砂野氏に聞く、急成長の秘訣 - Sputnik 日本
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日本の製薬メーカーが、ロシアに熱い視線を注いでいる。ロシアの医薬品市場はこの数年2ケタ成長が続いており、今後も大いに拡大が見込める。エーザイ株式会社は、2013年に販売会社「エーザイ・ロシア」を設立。自社開発の抗がん剤「ハラヴェン」を始め、4種類のてんかん治療薬をロシアで販売している。

今回、エーザイ・ロシア代表の真砂野一彦(まさの・かずひこ)氏が、スプートニクのインタビューに応じてくれた。エーザイが企業理念として掲げているヒューマン・ヘルスケアの概念が、医療文化の大きく異なるロシアでも認知され始めてきたのは何故か。

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真砂野氏「もともとエーザイは、患者様の気持ちを理解するためには、患者様と一緒に過ごす時間をもつことが唯一の方法だと考えています。この一環で、2015年2月からエカテリンブルグにてんかんの子どもたちを対象としたヨガ・クラスを開講しました。てんかんの患者様は、偏見のために社会から阻害されてしまったり、日常的な運動が必要なのに、社会に出たがらない方もいます。そういった方々にヨガのクラスを提供しています。

ヨガを初めて数ヶ月でコミュニケーション・スキルが改善し、子どもたちの笑顔が多く見られるようになりました。このようなことを通じて、てんかんの発作は起きにくくなってくるのです。こういった患者様の一部は当社の製品を服用されています。ヨガで運動機能を改善し、同時に薬でも発作のコントロールをするというわけです。ヨガ・クラスは非常に好評なので、今後ロシアの他地域にも展開していく予定です。」

また、エーザイ・ロシアはがん分野でも独自の取り組みを行っている。エーザイ・ロシアの営業担当者によると、ロシアの多くの病院は診療時間が決まっており、一人あたり約12分だという。これはがんを含む、どのような疾患でも同じだ。しかしその12分の間にがんを告知されたら一体どうするか。自分はどれくらい生きられるのか、どんな治療をいつから始めればよいのかといった不安や疑問がわいてくる。これらの疑問を12分間で消化することは不可能だ。そこでエーザイ・ロシアは乳がんの告知を受けた人のための動画を作成した。動画では、乳がんを告知された女性たちが自分の体験を語り、前向きにがんと戦う姿を見せている。これを見ることで気持ちが整理でき、がん患者は生きるための治療を開始しようという気持ちになれる。乳がんの治療は、手術をして乳房を取るか、抗がん剤による化学療法のどちらかを選択することになるが、抗がん剤には副作用があり、治療後の社会復帰に影響を及ぼすことがある。

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真砂野氏「ロシアの場合は治療まではしてくれますが、その後の支援プログラムやサポート体制は整っていません。術後、社会復帰したいのに身体的あるいは精神的に障害が残ってしまうことがあります。そこで我々は患者様が社会復帰できるよう、ニージニー・ノヴゴロドにリハビリテーション施設を開設しました。ここではリハビリはもちろん、心理療法士に悩みを相談して心理的な安定を図ることができます。私たちは単に抗がん剤を提供するだけでなく、患者様の生活の質の向上のためのトータル・ソリューションを提供していきたいのです。同様の施設はモスクワでも展開していくつもりです。」

エーザイ・ロシアでは、日本人は真砂野氏一人で、あとの従業員約50名はすべてロシア人だ。ロシアに居を構える日本企業幹部の中には、労働文化の違いから、ロシア人従業員とうまく関係を築けないケースもある。なぜ日本人が一人しかいない中で、エーザイの理念を浸透させ、いくつもの新しいプロジェクトを始めることができたのか。真砂野氏はコミュニケーションの秘訣について、次のように話している。

真砂野氏「私はおしゃべりな方で、皆と話したいのですが、従業員からはなかなか寄ってきてくれません。ですので、たわいもないことでも自分から声をかけるように心がけています。自分から飲みに誘ったりと、日本風コミュニケーションも大事にします。ロシア人というのはメンタル面ではアジア人で、義理人情を理解してくれます。また、とてもラッキーなことに、エーザイ・ロシアの従業員は規律正しくて信頼できる人ばかりです。今では従業員やパートナーとの間に強い絆ができたと実感しています。」

 

 

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