ロストロポーヴィチ氏の名に世界最優秀の演奏家が集まる

© Sputnik / Anatoly Garanich / メディアバンクへ移行ムスチスラフ・ロストロポーヴィチ
ムスチスラフ・ロストロポーヴィチ - Sputnik 日本
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ここ数日、ロシアの首都モスクワから世界切っての演奏家らが集まってきている。偉大なロシア人チェロ奏者で指揮者、社会活動家としても活躍したムスチスラフ・ロストロポーヴィチ氏を記念した第6回国際フェスティバルに参加するのがその目的だ。

ロストロポーヴィチ記念国際フェシティバルは3月27日に開幕するのが恒例。この日はマエストロ、ロストロポーヴィチ氏の誕生日。祝祭の芸術監督を務めるのはロストロポーヴィチ氏とその妻、故ガリーナ・ヴィシネフスカヤ氏の長女、オリガ・ロストロポーヴィチさん。オリガさんのインタビューをご紹介しよう。

「私はこのフェスティバルのたびにパパがホールにいる感じがありありするんです。この音楽を通し、彼が愛した作品を通し、彼が愛し、いまフェスティバルに参加してくれている同僚、友人らを通して、こうしたコンサートの質を通して、ぜったいに彼はこのホールに私たちとともにいてくれているんだと感じるんです。」

フェスティバルのプログラムには芸術上の厳格なコンセプトはない。ただ毎日がロストロポーヴィチ氏の同時代人、同僚、教師、友人だった偉大な作曲家に捧げられている。これは第1回の実施以来、善き伝統となった。オリガ氏は、プログラムを組む上で常に考えるのは父親ならこれを良しと判断したかどうか、ということが重要な基準だと語る。

「モスクワを1週間の間、世界各地から偉大な演奏家を集める場にできることが嬉しいのです。」

3月27日、モスクワ音楽院大ホールでフェスティバルは開幕。開幕を飾ったのはかの有名なユーリー・テミルカーノフ指揮サンクト・ペテルブルグ交響楽団だった。生前のロストロポーヴィチ氏の音楽家らとの交際は、何年にもわたる職業上の関係だけではない、真心のこもった友情もそうだった。テミルカーノフ氏が自分のオーケストラを率いてフェスティバルに参加するのは今回が初めてではない。コンサートではブラームスのヴァイオリン協奏曲が、若手ソリストでブリュッセルのエリザベス女王コンクールでグランプリを受賞したアンドレイ・バラノフの演奏で披露されたほか、エドゥワルド・エリガルの「エニグマ」のテーマの交響曲バージョンが演奏されている。オリガ氏は、この選択も全く偶然のことではなかったとして、次のように語っている。

「テミルカーノフ氏は素晴らしい音楽家です。このかたは私の父とは多くの人間的交流で結びついておられます。第1回のフェスティバルでテミルカーノフ氏はアンコールに『エニグマ』の変奏曲を演奏されたんですが、これを聴いたとき、全編通して聞かねばと思ったんです。しかもこれはそう頻繁に演奏されるものではありませんから…。」

プログラムには有名な演奏家が目白押しだ。第2日め(28日)には今のピアニストの中で最も注目される存在のボリス・ベレゾフスキーがズービン・メータ率いる交響楽団「マッギオ・ムジカーレ・フロレンチーノ」と共に演奏した。ズービン・メータは様々な時代、ロストロポーヴィチと共に出演しており、ロストロポーヴィチ氏を「素晴らしい人物であり、偉大な音楽家」と評していた。コンサートプログラムにはラフマニノフのピアノ協奏曲第3とチャイコフスキー交響曲第6番(副題、「悲愴」)が入った。

3月31日、モスクワ音楽院大ホールでは作曲家ゲオルギー・シヴィリードフを記念したコンサートが行なわれる。今年はシヴィリードフ生誕100年にあたる。シヴィリードフ氏は長年にわたりロストロポーヴィチ氏と旧交を温めており、奥さんのガリーナ・ヴィシネフスカヤ氏とはなんども共演している。シヴィリードフとウクライナのテノール歌手ドミトリー・ポポフを記念したオーケストラはシヴィリードフがロシア人詩人の作品に局をつけた作品が演奏される。

若きロストロポーヴィチ氏と作曲家プロコフィエフの間の友情を記念して、組織者らはこの友情に焦点を当てた特別コンサートプログラムを作った。これでソロを務めるのはロストロポーヴィチ基金の若手専門家らで、チェロのリジィ・ラミシュヴィリと弱冠13歳で国際的な栄光を勝ち取ったピアニストのアレクサンドル・マロフィーエフ。ロストロポーヴィチ基金はマエストロの生前にすでに創立されており、数十名のブンデルキッド(天才児)を世に送り出したことで知られている。このコンサートでもそのひとり、日本のマヤダ・カズキ氏がタクトを振る。

フェスティバルの閉幕は4月2日。ラトビアの指揮者アンドリス・ポギ指揮のロザンナ室内交響楽団が出演し、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1がロストロポーヴィチに捧げられることになっている。

ロストロポーヴィチ国際フェスティバルを評して、「秀逸な音楽家、指揮者、それが率いるヨーロッパのオーケストラの出演するパレード」、「オリガ・ロストロポーヴィチが両親に向ける労働、才能、愛の第5元素」という声が聞かれる。とにもかくにもフェスティバルへの関心は甘利に高く、初回からの5年で本当の意味でモスクワで行なわれる文化イベントの頂にのぼりつめた。

 

 

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