ロシアの専門家アレクサンドル・パノフ氏:日本の軍事的独立性の強化は世界に脅威を与える

© REUTERS / Toru Hanai安倍首相
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安倍首相の米訪問と、米国で終了したばかりの日米の防衛問題に関する協議は、日本の軍事ドクトリンと日米防衛同盟の発展における新たな時代を開いている。

安倍首相が米国に到着した時、菅官房長官は、安倍首相がモスクワで5月9日に開かれるナチス・ドイツに対する戦勝70年の記念式典に出席しないことを発表した。「あまりにも過密なスケジュール」が理由だという。元駐日ロシア大使で米国カナダ研究所の主任研究員であるアレクサンドル・パノフ氏は、この声明は安倍首相からオバマ大統領への贈り物となったとの見方を表し、次のように語っている。

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日本と米国 相互防衛へ
「安倍首相は、贈り物のセットを持って米国を訪れた。これらは全て米国との協力を最大限強化するという一つの課題の解決を目的としている。なおこれは、中国への恐怖心からだ。米国は尖閣諸島について日本の立場を支持していると語っている。しかし日本は尖閣諸島をめぐって何かが起こった時に、米国が実際に日本を助けることはないのではないかと心配している。なぜなら米中関係の性質や中国の力を考慮した場合、米国は尖閣諸島を理由に中国との関係が悪化することを危惧しているからだ。すでに米国はこのような紛争が始まることに反対であり、この問題へ介入することにそれほど熱意を持っていないことを示唆した。」

パノフ氏は、原則的に日本は米国への忠誠を示し、何かが起こった場合には、米国は日本を支持するしかないというレベルにまで、軍事同盟を強化しようとしている、と述べている。そのため日本は米国の指示に忠実に従っていることをデモンストレーションしているという。例えば、「モスクワに行かない」という指示だ。もしかしたら日本はロシアとの協力を望んでいるのかもしれない。しかしパノフ氏によると、同盟国の米国が反対しているならば、首相は行かないのだ、という。パノフ氏は、安倍首相からオバマ大統領へのもう一つの贈り物は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だと指摘し、次のように語っている。

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安倍首相 米国へ出発 「平和と繁栄を作り出す」
「日本はTPP締結を妨げている意見の相違が残っている分野で何らかの譲歩を行う用意があることを明確に示している。TPPが主に中国に対するものであることは明らかだ。その他にも日本は米国と一緒に中国が主導するアジアインフラ投資銀行への加盟を拒否した。しかし米国のほぼ全ての別の同盟国は参加した。しかし日本は自国の国益を犠牲にして米国を支持している。」

安倍首相の今回の米訪問では、安倍首相とそのチームが掲げたさらにもう一つの課題も解決される見込みだ。その課題とは、憲法第9条の「侵食」だ。なおパノフ氏は、最終的に憲法第9条が完全に廃止される可能性もあると述べている。パノフ氏は、複数の情報によると、日本政府では2018年までに第9条をはじめとした憲法全体を改正するための基盤を準備することが決まっていると語っている。パノフ氏によると、日本の国会は防衛協力のための指針の改革を基盤に、集団的自衛権を確保するための法律を制定する方針だと指摘し、次のように語っている。

「これは、防衛分野におけるこれまでの活動制限から抜け出す非常に過激な方法だ。以前は日本の領土とその領海の保護について発言されていたが、今は日本の自衛隊がグローバル規模で活動すると誇らしげに語られている。これらが同地域に安定性を加えたり、軍事的な信頼を強化することはない。その反対に、特に中国が激しく反応する可能性がある。ほかの国も同じだ。なぜなら日本は第二次世界大戦以降、数十年にわたって想像することも困難だった役割を手にするからだ。例えば、ホルムズ海峡で日本のエネルギー安全保障が脅かされるような出来事が起こった場合、日本はそこで機雷を敷設する役割も手にする。日本は事実上、中東の紛争に介入することもできる。なおこれはもう日本の安全保障とはいかなる直接的な関係も有していない。すなわち解釈は非常に幅広く、日本は米国との同盟を維持しながら、事実上、グローバルな場で独自の軍事プレーヤーに様変わりしている。これは非常に深刻な結果をもらたす恐れがある。」

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ちなみにこの危険性は米国人でさえも理解している。毎日新聞は、米ウォール・ストリート・ジャーナルが、「『安倍晋三の日本のビジョンにつきまとう歴史』との記事を掲載。安倍首相が今回の訪米で「より力強い対等なパートナー」として日本を売り込んでいるとする一方、『歴史に関する彼の見解がかき立てた疑念』を抑止する必要があると指摘した」と報じた。さらにウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「安倍首相が第二次大戦中の日本の行動に関する謝罪について『あいまい』な態度を取っており、アジア地域の緊張を高め、米国の不信を招いていると解説した」という。そして毎日新聞によると、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「悔恨の新表現をどこまで示すかが、訪米の最も重要な問題かもしれない」との見方を示したという。

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