北朝鮮にとっての教訓

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北朝鮮にとっての教訓 - Sputnik 日本
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5月末、朝鮮民主主義人民共和国は、対米戦を防ぐために核兵器は必要不可欠とする声明を表した。北朝鮮は、米国が対話を望まないとして、これを非難した。

専門家らは、北朝鮮の核兵器は何よりもまず自衛的、抑止的なものであると何度も繰り返している。北朝鮮自身も、核保有の主たる目的は米国の核の脅威と、自国が常時味わっている軍事攻撃の脅威に対抗するためだと指摘している。

ロシア科学アカデミー東洋学研究所、朝鮮モンゴル課のアレクサンドル・ヴォロンツォフ課長は、それを物語る例は身近にたくさんあるとして、次のように語っている。

「オバマ氏が1月22日にマスコミに答えた有名なインタビューが強烈な印象を残しているのだが、そこでオバマ氏は自分たちの対北朝鮮政策は体制崩壊を促進し、韓国によってこの体制が吸収される方向に向けられていると語っていた。これで万人が理解したのは、オバマ政権の間は実際的な交渉プロセスは一切ありえないということだった。米国は自分のやりたいことをやる。制裁強化を続ける。だが我々も自分のやりたいようにやるということだ。」

米国は北朝鮮に米国流のルールでプレーを一貫して強いている。2010年、米国は北朝鮮の核軍事力をコンピューターウイルスを用いて攻撃しようとした。ところがこの作戦は失敗。なぜなら米国の諜報機関は北朝鮮の核プログラムが依存している機械にウイルスをばら撒くことが出来なかったからだった。専門家らの間では北朝鮮のインターネットは世界で最も外界から孤立したものに数えられると認識されている。北朝鮮のインターネットへアクセス権を持っているのは最高指導部のみで、しかもアクセスは中国を通じて行なわれる。ところで中国のデーターから米国諜報機関は、北朝鮮にはすでに20の核弾頭があるという確信的な情報を突き止めた。これ以外にもおそらく北朝鮮は核兵器の生産に十分な量の濃縮ウランをもっている。これを使えば、近い将来、核兵器の保有量を2倍にすることが可能となる。こうしたことを説明するのはいとも簡単だ。」

ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長は北は世界情勢に把握に余念がないの見方を表して、次のように語っている。

「 北朝鮮の核プログラムは様々なデーターを見る限り、すでに20年の歴史をもっており、これをストップさせようとする試みは全て失敗している。北朝鮮がなぜ核プログラムをもっているのか? それはこの現代の世界で北朝鮮が身の安全を感じていないからだ。米国およびその連合国が画策したおかげで、バルカン半島、イラク、リビアの国家体制が転覆した後では北朝鮮の憂慮はなおさらだ。特にリビアではカダフィー大佐は核プログラムから手を引き、独自の核開発を断念し、これで核保有国との関係はうまくおさめたと思いきや、その後で事実上、裁判も捜査もなしに国家転覆が行われ、殺害されてしまった。北朝鮮は世界で何が起きているのか、何らなの理由で役に立たないとされた国のリーダーがどんな目に合っているかを見守っており、そうした事態を自分に許さないための措置をとっているのだ。」

これ以外にも北朝鮮の前にはさらにもうひとる、かなり複雑な問題が立ちはだかっている。それは南との統一だ。専門家らはすでに統一による経済的利益を試算している。ところがジェビン所長は、南北朝鮮には過去にかなり複雑な関係にあったことは念頭に入れておかねばならないとして、さらに次のように語っている。

「 南北朝鮮の統一は論理的には可能だ。だが実践的には、これは実践が物語っているが、統一には非常に長い時代が要求されてしまう。朝鮮半島ではドイツとは異なり南北間の内戦があり、これは外国の介入を呼んでしまった。最初に介入したのは米国だ。米国は北朝鮮と中国の国境へと進み、これで北朝鮮の軍は大きな痛手を蒙った。北朝鮮側には中国の義勇兵らが参戦している。この戦争は何百万人もの韓国、朝鮮人の意識のなかに、また実際の生活にも非常に深い傷跡を残した。それは凄惨極まりない戦争だったからだ。たくさんの兵士、そして民間人のなかにも犠牲者が出た。だから戦争の記憶は多くの南北朝鮮人の心に未だに生々しく残っているのだ。」

それでも韓国にも北朝鮮にも遅かれ早かれこうした意見の食い違いは克服され、朝鮮半島は統一されるという確信がある。なぜならこのふたつの国と民族は4500年にわたって同じ歴史を生きてきたからだ。これは長い時間であることは間違いない。

 

 

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