中国は安倍首相を手招きし恐怖させる

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安倍首相 - Sputnik 日本
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日中関係確立を目的に、安倍首相は、9月初めの中国訪問の可能性を検討している。しかし、恐らくは9月3日に北京で予定されている第二次世界大戦終結70周年記念行事の前あるいは後を選択するだろう。これは、日本の複数のマスコミが、政府の消息筋から得た情報として伝えているものだ。戦勝70周年に際した式典の安倍首相への招待状は、中国側から外交チャンネルを通じて、すでに今年3月外務省指導部に渡された。しかし日本政府側からの最終的な答えは、今のところない。

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日本と中国の間は、矛盾した関係が保たれている。密接で互恵的な貿易経済関係が、求心力として働く一方で、残りの全て、領土問題から始まって歴史認識といったデリケートな問題に至るまでの全ては、遠心力として働いている。もちろんそうした複雑な諸問題を話し合うためには、個別の様々な綿密に準備された会合が必要であり、祝賀行事のような場では、中国指導部は、十分な時間を割く事は出来ないだろう。一方、安倍首相にとっても、祝賀式典に参列したり軍事パレードを見学したりするのは、楽しいものではないだろう。戦勝国中国にとって、それらは「歴史的正義のための戦いの一部分」であり「日本帝国主義」に対する勝利の中で、自分達が果たした役割の重要さを強調する試みだからだ。

しかし安倍首相は、もう一つの理由によっても、北京での行事に簡単に出席するわけにはいかなくなる可能性もある。中国は、安倍首相が8月15日の談話で何を言うか待ち構えている。1945年のこの日は、日本が無条件降伏した日で、日本では終戦記念日とされている。

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先に中国のチャン・ユンファ(程永華)駐日大使は「70周年という節目の年は、日本政府のために明らかな可能性を提供している」とし、次のように指摘した-

「日本は罪の重荷を背負っている。この重荷から自分達を解放できるかどうかは、完全に日本次第だ。歴史を直視する事だけが、この重荷をおろすのを可能にし、未来に目を向けるのを助け、相互信頼の確立を促すと考える。」

もし安部首相が、第二次世界大戦時にアジアの諸民族に日本がもたらした苦しみに対し、単なる「深い反省」という表現を使うならば、中国側は、これを誠意あるものとは受け取らないだろう。ロシア極東研究所日本調査センターのウラジーミル・グリニューク主任研究員は「この事は、中国人にとって、心理的に非常に重要なのだ」と指摘し、次のように続けた-

「日本社会には、先の大戦中、日本がアジアの諸民族にもたらした不幸の数々に対し、ある程度、歴史的罪の自覚がある。しかし、日本の立場とドイツの立場を比較すると、ドイツはナチズムの犯罪の真剣な再確認を行っているが、今の日本の主要な政治家達は、前の首相達、とりわけ村山首相の歴史認識に変更を加える事に賛成する向きがあるようだ。村山氏は1995年、中国大陸での日本の侵略行為を直接認め、謝罪した。しかし現在、これに修正意見をつけて談話を作ろうとしている。安倍首相は、自分の前任者達の立場を支持している事を認めるだろうが、もし彼が反省を口にしながらも謝罪せず、単に言及を制限するならば、中国では、誠意あるものとして評価されないだろう。これは感情的な受け止め方なのだが、中国人にとっては、非常に重要な事なのだ。」

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最後に奇妙に思われるので触れておきたいが、太平洋戦争に参加した他の国々、特に米国は、北京での記念行事に招待されているのだろうか、そして参加するのだろうか?この事は今も、はっきりしていない。もし米国の大統領が中国に行くのであれば、それによって日本を心ならずも侮辱してしまうかもしれない。しかし行かなければ、今度は中国を侮辱する事になってしまう。大体において、北京での戦勝70周年のイベントをめぐる外交的な霧、あいまいさは、今も晴れないままである。

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