米国はタイを東南アジアの反中国戦線に立たせようとしている

© AP Photo / Bullit Marquez米国はタイを東南アジアの反中国戦線に立たせようとしている
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タイは中国からのディーゼル潜水艦3隻の購入を停止した。水曜、副首相兼国防相のプラヴィット・ヴォングスヴァン氏は、国営軍立テレビを通じ、取引は延期された、と発表した。延期の理由として、中国の潜水艦をタイが受け入れることの利点を国民に詳しく説明することが必要だ、とされた。

取引は軍事委員会によって5月に承認され、閣議承認にゆだねられていた。取引額は11億ドル。一方でメディアやSNS上では、プラユット・チャンオチャ首相に対する厳しい批判が上がっている。潜水艦の購入は医療保険プログラムへの投資よりも正当化される取り組みだ、との首相の発言が問題視された。

しかし、軍高官というものは、事が兵器の購入ということであれば、「民主主義をもてあそぶ」ことはしないものだ。タイには潜水艦が一隻もない。購入計画は、ロシアからのそれを含めて、色々持ち上がったが、いずれも実現しなかった。タイには米国が強い影響を与えているのである。スプートニクの取材に対し、ロシア科学アカデミー東洋学研究所のドミートリイ・モシャコフ氏はそう語った。

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「米国はある程度以上中国と距離を置いている国々からなる国家ブロックによって「中国を包囲する」政策の枠内で、東南アジアにおける中国のあらゆる行動を常時監視している。米国は無論、タイに強い影響を与えている。政治指導部への影響ということならなおさら膨大である。この文脈からは、潜水艦購入が撤回されたのでなく、延期されたということが、最良なかたちで、このビッグ・ゲームにおける米国の国益に適うのである。このゲームにはタイばかりか、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、フィリピンも、米国によって動員されている。タイは、フィリピン、ベトナム、マレーシアと比べれば、反中国戦線において、相当、受動的であった。そのタイを何らかの形で活性化させる試みを、いま米国はとっているのではないか。米国にとすれば、中国の東南アジア進出を阻む前線となるべき国々の、その最前線に、タイを立たせたいところなのだ」

かつてタイに対しては、ロシアもドイツもフランスもスウェーデンも韓国も、自国製の潜水艦を勧めたことがある。しかし5月、タイの軍事当局が選んだのは、中国のディーゼル潜水艦S-20(NATOのコードネームで「ユアン」)だった。中国の最新式潜水艦である。これらは、言うまでも無く、ロシアの877型潜水艦「ワルシャワンカ」輸出用ヴァージョンおよび1650型潜水艦「アムール」輸出用ヴァージョンを購入し、その技術を学び、かつ利用することによって作られたものである。

中国の国産潜水艦ではあるが、隠密性においてロシアのものにはいささか劣る。中国はロシアの潜水艦の水準まで騒音を低減することが出来なかった。しかしそうはいっても、中国の潜水艦は、極めて高い隠密性を誇り、このクラスの潜水艦としては最先端のものとされている。飛距離120kmのS-80ミサイルや魚雷といった標準装備を搭載できる。

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軍事専門家コンスタンチン・シフコフ氏は、タイ軍部に魅力的だったのは中国潜水艦の価格だったろう、と語る。

「なぜ中国の潜水艦が入札を制したか、何が一番の魅力だったか。おそらくそれは、ダンピング価格であった。彼らはそれによって自社製品の販売を促進しているのだ。中国の潜水艦はロシアの「ワルシャワンカ」との比較において、性能においては全く優秀ではない。むしろ、多くの点で劣る。「アムール」との比較においてはなおさらである。そして同じクラスのドイツ製潜水艦にも劣る。ちなみに米国は、中国のこの潜水艦開発にいささかの憂慮を抱いている。しかし、重要なのは、この潜水艦の性能のためではなく、彼らの諜報機関が中国でこうした潜水艦が開発され、完成した事実を見落としたことが、憂慮を呼んでいるのである」

中国の名はいま、さらに二つの、タイの全国的プロジェクトとの関連で、よく聞かれる。中国南部のクンミンとタイ南部の港湾をラオス経由で結ぶ鉄道建設と、クラ運河の建設である。運河が建設されれば南シナ海とアンダマン海が結ばれ、マラッカ海峡の大動脈となる。中国はあの手この手でこのプロジェクトに自分が参加していることを否定しているが、タイ世論には反中国の気運が強まっている。中国人スペシャリストらが中国の資本で運河を建設すれば、運河およびその周辺地帯が中国の占領されてしまう、との危惧があるのである。タイとしても、拙速と見られかねない中国からの潜水艦3隻の購入で、こうした気運をさらに加熱させることは避けたいところだったのかも知れない。

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