ミストラル合意破綻:誰が勝ち、誰が負けたか

© AP Photo / Thomas Samsonオランド大統領
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フランス強襲揚陸艦ミストラルのロシア海軍への供給の問題が終結した。両国大統領は2011年6月に調印されたミストラル2隻建設・供給に関する12億ユーロ合意の効力を停止する共同決定で最終的に合意した。契約で支払われた全額とロシアの設備や資料が返還される。クレムリンによれば、「フランスは既に金額を算定し、設備の返却後は2隻の所有権を得、自己のものとすることが出来る」。

ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所国際安全保障センターのウラジーミル・エフセーエフ氏によれば、契約解消と12億ユーロ支払いは双方に利益だ。「フランスは義務の履行を確約した。ロシアとしてはようやっと見通しが立った。お金は戻ってくるし、2隻はそれほど必要なものではなく、軍事的にも特に失うものはない。ミストラル建造合意はロシアとしては単に政治的決定だった」。

軍事予測センターのアナトーリイ・ツィガノク代表は、フランスは武器輸出国として信頼性を発揮した、と言う。

「ミストラル」 - Sputnik 日本
露仏がミストラルでようやく合意、仏は12億ユーロを返還へ
国際問題評議会のアレクセイ・フェネンコ氏は、ミストラルの一件では誰も得をしなかった、と見ている。両国とも失うものがあった。ロシアは取引期間中のインフレで一定の財政出動を行った。フランスはフランスで、国際武器市場の供給者としてダメージを受けた。米英がフランスを圧迫し、立場を変えさせるかもしれない。

ただ、契約が「単に政治的なもの」だったことでは、ほぼ軍事専門家の間では見解が一致している。ツィガノク氏によれば、複数の理由により、ロシア海軍はミストラルを全面的に利用できない。高緯度地で稼動できないこと、燃料補給用のコンポーネントがロシアでは生産されていないものであること、水・空・陸からの攻撃に対して脆弱であること、航行の際には大規模な護衛が必要であること、等だ。さらに、半年に一度補修が要るが、それには特殊なドックが要る。そもそもロシアの軍事機器を積むのに適しておらず、ロシアの様々な種類の兵器にうまく接続せず、上陸部隊の上陸も困難であるという。

ロシアは折しも「イワン・グレン」級大型揚陸艦を建造中だ。この等級としては最大級のもので、ミストラルに性能は似ているが、搭載可能なヘリ数は格段に多い。

フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン国防大臣によれば、複数の国がミストラル取得に既に名乗りを上げている。戦略技術分析センターのルスラン・プホフ所長によれば、具体的にはインド、ブラジル、ベトナムである。

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