ウラジオストクの悟り:日本にとってロシアとの友情は「北方領土」より大事

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ウラジオストク - Sputnik 日本
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中国が強大化する今、日本にとってロシアとの友情は「北方領土」の返還などより遥かに大事だ。ロシア、インド、中国、韓国、マレーシア、シンガポール、トルコなど、40カ国を超える国々から参加者が集まり、ウラジオストクで開かれた第4回フォーラム「ベルジャーエフ講座」で、このような考えが表明された。

出席した日本の著名な国際政治学者安野正士(あんの・ただし)氏は、リア・ノーヴォスチ通信の取材に対し、ウクライナ危機が露日関係に響いてはいるが、中国の強大化を憂慮して、日本はロシアを安保問題における潜在的なパートナーとして受けとめはじめている、と述べた。

ロシアに対するこうした見方は新しいものではない。しかし今の状況では、こうした立場は広まるかも知れない。モスクワ国立国際関係大学国際研究所主任研究員アンドレイ・イワノフ氏はそう見ている。

握手 - Sputnik 日本
ロシアは安全保障問題において日本のパートナーになりうる
「1990年代半ば、日本外務省の機関誌「外交フォーラム」で、当時としては非常に耳新しい次のような意見が述べられた。日米の経済的な摩擦が強まり、米国が保護の重圧を日本に押し着せようとしている状況の中では、日本は新しく市場経済と民主主義を建設しつつあるロシアと防衛同盟を結ぶことを考えるべきではないか、というものだ。露日国防パートナーシップは現実には実現しなかった。韓国はかつてソビエト借款の償還のためにロシア製戦車とヘリの購入に応じたことがある。米国は韓国のこうした振る舞いを一応見逃しはした。しかし東アジアにおける最重要同盟国である日本がロシアと国防協力を行うなどは、もちろん米国としては認められないだろう。

しかし、こうした考えはその語も度々持ち出された。少なくとも専門家やジャーナリストの間では。友人である日本の著名なジャーナリストは私に、中国の脅威を念頭に、ロシアは日本と友好関係を結ぶべきであり、日本と友好善隣関係を結ぶために、ロシアは南クリルを日本に明け渡すべきだ、と述べた。私が「ロシアは中国を脅威と受け止めてはいない」と言うと、彼は露中が同時抱えていた領土問題の存在を指摘した。

日本国旗とロシア国旗 - Sputnik 日本
マスコミ:9月に露日首脳が接触の可能性
しかし2000年代初頭、この問題は無事解決され、露中は貿易経済協力の量を何百倍にも増大させ、さらに、米国による一極世界を拒否するという点でも立場の一致をみた。東欧、中東、中南米、さらにはウクライナ、ひいてはロシア、果ては中国の香港でカラー革命を引き起こし、この惑星を自分好みに作り変えようとする米国の試みが、露中パートナーシップをさらにアクチュアルなものとした。そしていま、ウラジオストクにおいて、安野氏は、なるほど露日間には未解決の領土問題があるが、中国の軍事力増大という文脈で、日本にとって最重要なのは安全保障であり、日本は安保分野でロシアと協力する用意がある、と述べた。ロシアにとって中国との友情と協力がきわめて重要であることを理解した安野氏は、ロシアに反中同盟への加入を呼びかけるのではなく、露日の政治指導者間、学者間、文化人間の、北東アジアの安全保障問題をめぐる対話を提唱した。このことは特筆に価する。

日本、中国、韓国、北朝鮮、その他アジア諸国と、地域に対等な協力フォーマットを創設するために話し合うということなら、ロシアも望むところである。しかし、現時点では、こうした対話は、一部諸国による新ブロック建設の試みによって、阻害されている。たとえば、中国抑止のために。ロシアでは、反中ブロックは反露という目的でも使われるだろうと核心されている。よってロシアはアジアにおけるいかなるブロックにも反対している。もし日本のエリートの中に、アジアにはブロックは必要ないと考える人々がいるのなら、ロシアはその人たちと協力する用意がある」。

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