日本に米国の軛がかけられたか

© AFP 2023 / Saul Loeb日本に米国の軛がかけられたか
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日本の参議院は自衛隊の権限を拡大する法案を可決させた。法案審議との関連で、街頭では抗議行動がなされ、参加者が警察に逮捕される事態にまでなった。極東研究所のヴィクトル・パヴリャチェンコ上級研究員は、日本政府は強い抗議運動をも意に介さない、と見ている。誰かが政府を抑制しなければならない。ふつうそれは野党の仕事だが、日本の野党には今十分な力がない、とパヴリャチェンコ氏。

もはや安保関連法の成立は不可避である。日本の外交は今後、より一層親米の度を深めるだろう、とパヴリャチェンコ氏は語る。

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「安倍晋三氏に米国の軛がかけられた。もはや安倍氏は、米国の忠実な同盟国としての機能を逸脱するようなことを敢てすることはないだろう。もちろん、今、日中関係がある程度前進することは期待してもよい。複数の専門家が、安倍氏は対中関係改善を望んでおり、そのためとあらば尖閣の問題でさえ、中国側の面目が保たれるように自らの立場を変えることも辞さない構えだ、としている。

日本政府は2012年に尖閣を民間人地権者から買い上げることによって、1972年の田中・周恩来合意、すなわち、島の帰属の問題は棚上げにし、その解決は次の世代に委ねるとする口頭の合意を破った。その上、尖閣の帰属をめぐる領土問題など存在しない、などとうそぶいた。安倍氏もこの問題はどうにかしなければならないと理解しているのだと思う。第二次世界大戦終結70年を祝う北京の祝賀イベントにも、安倍氏は出席しようとしたと思わしい。しかし直前になって何らかの邪魔が入った。おそらく米国を説き伏せることが出来なかったのだろう」

スプートニク:安保関連法の成立によって、将来的に日本が自立した軍事国家になる可能性はあるか。

「ないと思う。法案の基本は、飽くまで日本の同盟国や戦略的パートナーに対して支援を行う、ということだから。米国にピンチが訪れない限り、日本には何らの行動を行う根拠もない。この法案も、中国の増強への対処法としての、大言壮語の一種に過ぎないふしがある」

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スプートニク:この法律は対中関係にどう影響するか。中国は非常に強くこの法律を批判してきたが。

「法律の可決にあわせて、日本は対中関係改善を図るだろう。例によって中国に密使として谷内正太郎氏を派遣し、谷内氏は中国指導部との信頼醸成協議で、同法の効果範囲に中国は含まれないという点を説明するだろう。誠意というものは道をひらく。並行して、両国間で調印がなされ、合意がなされる。何についての合意であるかはともかく、である。それに、中国と米国の対立だって、そういつまでも続くものではない。米国も対話の橋を燃やしてしまったわけではない。相手の事情の探り合いは今も行われており、交渉、協議も続けられている。これはそういう、入り組んだゲームなのであり、日本はその主役ではない。リーダーシップを争うのは米国と中国であり、両者にとって重要なのは、東アジアをいかに分割するかということである。それは間違いない。民間諜報・分析企業Stratfor創設者ジョージ・フリードマン氏はかつて著書『100年後の世界』で、2080年代の終わりにかけて日本は国際政治においてより目覚ましい役割を担うようになる、と予言した。今日本は力を蓄えている段階だ。新法は日本の飛躍のための、非常に有効な道具となり得る。だからといって、日本が明日にもその道具を使い出すとは考えなくてもよい」

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