安倍首相は国民の理解を模索

© AP Photo / Yoshikazu Tsuno安倍首相
安倍首相 - Sputnik 日本
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日本は現行の日本国憲法を尊重し、大事にしていくが、憲法には必要な改正を加えねばならない。安倍首相は9月24日、これから3年に及ぶ自民党総裁の任期に正式にのぞむにあたって、こうした声明を表した。総裁選挙自体は8日に行われていた。しかも安倍氏は唯一の候補者だった。

「…日本国憲法はわが国の統治体制を規定する根本規範だ。わが国は国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本原則に基づいて、平和と繁栄の道を歩んできた。安倍内閣でも憲法を順守しているわけで、今後もそのことに何ら変わりはない。他方、憲法は国の未来、理想を語るものでもある。21世紀の日本の理想の姿を私たち自身の手で描いていくという精神こそ、日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと思う。現行憲法の基本的な考え方を維持することは当然の前提として、その上で必要な改正は行うべきものと考えている。大切なことは憲法に対する、あるいはまた憲法改正に対する、国民の理解が進んでいくことだ。国民のみなさまの理解がより深くなること、改正案に対して支持がより広がっていくよう与党で、自民党で、さらに努力を重ねていく考えだ」

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安倍首相、憲法改正の必要性を明言
安倍氏は改正の詳細には触れなかったが、これが自衛隊を利用枠の拡大についての法を指すことは明白だ。先日、議会が採択した安保関連法で自衛隊は日本の国外での戦闘行為に加わる事が出来るようになってしまったが、この法の採択には多くの国民がデモ行進を行なって大反対した。法案の反対者らは、この法律は日本の平和憲法に矛盾すると考えており、事実上、日本は平和主義的地位を拒否し、世界中の軍事紛争に巻き込まれるリスクを負うことになると主張している。現時点で日本の防衛は主として、2つの主要な法的文書に規定されている。1つは自国の憲法であり、もうひとつは国連憲章だ。1947年に採択された日本国憲法では戦争の放棄、国際紛争の解決手段としての武器使用の放棄および自国の軍隊を持たない事が明記されている。国連憲章では個別の集団防衛を持つ権利が保障されており、これによって日本は1954年、軍事力を再び持つところとなり、これが今日まで法律の制限を受けながらも存在し続けている。

モスクワ国際関係大学および高等経済学校で教鞭をとるドミトリー・ストレリツォフ教授は、日本では安全保障分野の深部で政策の建て直しが行なわれており、それが目指すところは日本が何らかの制限を負って動きが重い国ではなく、「通常の国」と呼ばれるような方向性であるとして、次のように語っている。

「日本の軍事建設プログラムは長期的正確を持つものだ。2010年末の段階ですでに日本は将来に向け、ダイナミックな国防コンセプトをとっていた。このコンセプトは軍事建設に対し、状況の原則に基づいてより柔軟なアプローチを図ることを想定している。つまりこれは迅速かつ効果的に反応する可能性のことであり、変化する情勢や変わりつつある脅威に対する適応能力の高さのことだ。そしてもちろんのこと、ここでの中心は中国というファクターと北朝鮮の脅威だ。日本の政治指導部はすでにおおっぴらにこれについて語っており、中国からの脅威はすでに世論の理解を得ている。これは過去2-3年に見られるようになった新たな現象だ。これまで日本は中国を軍事上のシリアスな敵だとは見なしていなかったからだ。」

実際、議会に法案を出す際に、安倍首相は修正は中国増強にからんだ挑戦に立ち向かうために必要と語っている。現在、中国は南シナ海に人工島の建設を積極的に進めており、これについて近隣諸国は軍事的目的に使われるのではないかと憂慮している。

このほか、ストレリツォフ氏は日本は米国からの援助を期待しているものの、米国との連合関係の中で大きな自立性を得たいとのぞんでいると解釈している。これをよく物語るのが、地域安全保障ストラクチャーにより緊密に組み込まれようとする日本の姿勢であり、インド、豪州、フィリピンなどの諸国との相互関係の強化だ。特に7月、日本はフィリピンとの間でフィリピン領内の海軍基地を使用する可能性について条約を交わしている。

日本が自国のエネルギー安全保障を確保しようとする動きも極自然なことと受け止められている。なぜならエネルギー資源の供給の大半は不安定な中東から運ばれてきており、日本政府としては輸送回廊の安全度に対し、影響力をもちたいところだからだ。安倍首相が憲法改正に広範な支持を得られるかどうかは、かなり疑問だ。なぜならまさに、大々的な「軍国主義」へと導く政府の政策はここ最近、野党にとっては恰好の批判の的となっているからだ。

 

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