Diplomat:露中海軍、米国のアジア覇権を脅かす

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露中合同海軍演習「海上協力2015」はユーラシアにおける米国の戦略的優位を脅かし、堅固な集団防衛戦略を構築することを目的とするものだった。インド防衛研究・分析機構の政治学者、アブヒジット・シン氏がThe Diplomat誌上でこうした見解を示した。

以下、その概要を紹介する。

露中は「アジアの地政学における最大の不安定要因は米国である」という見方を共有している。ならびに、「米軍は海上において露中を抑止するという政策を組織的に推進している」との見方を、両者は共有している。露中海軍の合同訓練は、米国に対する、露中両国からの警告だ。米国の海上における覇権は長くは続かない、という警告だ。

両国間に「海上の相乗効果」があることは、8月に行なわれた海軍演習「海上協力2015」を見てもわかる。日本海で行なわれたこの演習には、ロシア側から16隻の水上艦、2隻の潜水艦、12機の航空機、9隻の輸送用水陸両用艦が、中国側から6隻の揚陸艦、6機のヘリ、5機の航空機が参加した。おそらく両国史上最大の規模の演習となった。中国側からは海兵400人あまりが参加した。

1992年に軍事技術協力合意に調印がなされて以降、中国はロシアから他のどの国より多くの軍事技術を購入した。たとえばキロ級潜水艦、戦闘機Su-27、ソヴレメンヌイ級駆逐艦などだ。2006年以降は中国のロシア依存は少なくなったが、ロシアは今も海上安全保障にとって非常に重要な装備の供給を続けている。よって、機動的な相互協力の深化というのも、両国の進める複合的軍事協力の論理的延長なのである。
前回の演習は、両国の協力関係が紋切り型の伝統的軍事協力の枠を超え出た、というふうに解釈される。先述のように膨大な船舶・航空機が参加した演習であったが、そうした「量」もさることながら、相互協力のあり方そのもの、つまり、協力関係が全面的なものになり、あたかも米国とその同盟国がアジア太平洋地域で繰り返す夥しい演習を彷彿とさせるものになっている、ということにも、両国海軍演習の重要性が認められる。

演習ではアジアの沿岸地帯で効果的な連携のもとに作戦を遂行する訓練がなされたほか、基本的な軍事行動を協調して行う訓練や、相手方の特性の学習と、それへの適応に関する訓練も行なわれた。双方の軍事ドクトリンそのものにも、共同で領土を防衛し、兵站を確保するための諸原則を盛り込んだ条項が新たに書き加えられた。

露中はアジア太平洋地域の海上で、米国の同盟国である日本、フィリピン、ベトナムの軍事プレゼンスが増大していることを、憂慮をもって注視している。もしかしたら、「海上協力2015」は、シグナルとして受け止められるかもしれない。今度は露中同盟の番だ、露中同盟は潜在敵国を「抑止」する用意があるぞ、とのシグナルとして。演習が行われる場所の選定も、意味深だ。昨年の演習は黒海および地中海だった。つまりはNATOのお膝元だ。それが今度は日本海だった。中国艦が今ほど大規模なプレゼンスを日本海に持ったことはかつてない。

今のところ米国は、アジア太平洋地域における最強の海洋大国である。しかし露中の海上協力が拡大することにより、アジアの海に「多極秩序」時代がもたらされるだろう。
政治学者、アブヒジット・シン氏は以上のように語った。

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