来年から日本国民すべてに背番号

© AFP 2023 / Toshifumi Kitamura来年から日本国民すべてに背番号
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来年2016年1月1日から、日本では、国民一人一人に 番号が付く「マイナンバー」制、いわゆる「国民背番号制」が導入される。これは、未成年者も含め、すべての日本国民に12桁の個人番号が付けられるもので、この番号は生涯変わらない。こうしたシステム導入の理由を、日本政府は、登録と会計の業務を一つにまとめトータルに管理し、徴税や社会保障システムなどの作業を簡易化する必要があるからだと説明している。なお今後「マイナンバー制」が適用される領域は、徐々に広げられる計画だ。また、日本に長く滞在する外国人にも「マイナンバー」が付けられるとの情報もある。

スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者は、この「マイナンバー制」の持つメリットとデメリットについて、新潟国際情報大学の越智 敏夫(オチ・トシオ)教授に国際電話をかけ、御意見を伺った。越智教授は、次のように答えている―

「メリットは、本質的には政府の側にある。これまで年金や税金など各個人の、特に経済的状況について、日本では所謂『縦割り』行政で行われてきた。税務署と貯金に関するところ、給与に関するところが、すべて別のセクションによって管理されていた。これは、政府にとって不便な状態だった。それが、今回の『マイナンバー制』で一括管理できるようになるので、政府にとってのメリットは大きいと思う。

デメリットについて言えば、考え方により異なるだろうが、例えば、表現は奇妙かもしれないが『脱税をする人達』、つまり個人として自分の経済状態について、あまり政府に管理してもらいたくない人々にとっては、新制度により、すべての収入や貯金、税金などが分かってしまう可能性がある。特にアルバイトなどの副業をしている人達の中に、困る人が出てくるかもしれない。

しかし制度的に見て、大きな問題というのは、別の点にある。今の政府の税金体系、特に年金に関する部分など、仕組み自体が不十分なところがあるからだ。年金データの漏洩といった事件があったように、政府の側の年金の仕組みがしっかりと出来ていない中で『マイナンバー制』を導入する事で混乱が起きる可能性がある。また個人情報が外部に漏れないのか、といった大きな問題もある。」

続いてサーキャン記者は「『マイナンバー制』のようなものは、世界の数多くの国々に存在しているが、日本での受け止め方はどうか」質問した。越智教授は、次のように答えている―

「もともと日本社会においては、サラリーマン等の企業労働者とか公務員が多いせいで、税金に関する意識がそれほど高くない。給料が、そもそも税金が『天引き』されてから渡されるからだ。確定申告をするような労働者は、それほど多くない。そのため『マイナンバー制』に対し、これでどこが変わるのだろうかという、いまいち実感がない。しかし、制度導入によって、自分がどれくらい税金を払っているか、どれくらい年金の基礎額を払っているかが分かる事で、一人一人の人間が納税者としての意識が覚醒され強くなると思う。これが、政府そのものが意図していない、制度導入の副次的な作用だと思う。」

最後にサーキャン記者は「日本には今、自衛隊の海外派遣とか原発の再稼働とか大きな問題があり、抗議行動が起きているが『マイナンバー制』をめぐって、強い反対運動が起きるだろうか」と聞いた。

越智教授は、この点を次のように分析している―

「集団的自衛権とか原発再稼働という問題に比べると、非常に実務的な色彩が強いように、今のところは見えている。はっきり言って、日本の労働者の大半を占めるサラリーマンにとっては、税金や年金が給与から『天引き』されているので、新制度が導入されても、給与が減るとか、実質的な経済的変化がない。あくまでも自分の経済状態が、国家によって一括管理されるという事で、それについての政府の説明は、今のところデタラメには見えない。少なくとも表面的には、そうは見えないので、広範な大衆が異議申し立てに立ち上がり、デモという形で抗議行動が起こる可能性は低いと思っている。」

新潟国際情報大学の越智敏夫教授は、このように述べた。

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