「今年、プーチン大統領訪日が成功する兆しは見えない」

© AP Photo / Lee Jin-man杉山両次官
杉山両次官 - Sputnik 日本
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モスクワで露日外務次官級会談が終了した。モルゲロフ、杉山両次官による話し合いは7時間にも及んだ。菅官房長官は会談を建設的と評価している。菅官房長官はまた、日本外務省はプーチン大統領の訪日の刷り合わせを続けていくと語っている。

有名な東洋学者のアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使は菅官房長官の楽観主義とは意見を異にしている。

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「知る限りではこの交渉の中でそれぞれの側が前々からわかっている自分の立場を語った。これは1980年代末にあった状態へまた戻っていることになる。当時、双方は長々とラウンドを重ねた結果、それぞれの立場を歴史的、法的、地理的論拠を重ねて根拠付けていた。だが当時は、こうしたところを土台にしていたのでは、何の解決も見出せないことははっきりしていた。非常に悲しいのは、20年後、我々がまた開始した時点に戻ってしまったことだ。どんなに論拠を並べても何もならない。なぜならそれぞれの立場は政治的には矛盾したままだからだ。問題は政治的解決以外では解きようもないが、今の条件ではそれは不可能だ。もちろん、交渉が成立したというのは悪くはないが、これは全く非生産的なものだったことは間違いない。立場の違いを確認するのに7時間も座り続けることはない。」

ラジオ「スプートニク」:平和条約の主たる問題で立場が異なるのであれば、日本はなぜ、あんなにもプーチン大統領を待っているのか?

パノフ氏:「第1に、安倍氏自身はこの訪問を非常に望んでいる。それはロシア大統領との直接的な対話を目指す自分の路線が成果を出していることを見せるためだ。日本はなぜか、ロシアの外交政策を決めているのは外務省ではなく、プーチン大統領個人だと思い込んでいる。今ロシアは苦しい立場にあるのだから、大統領から必要な決定を得られるのではないかというわけだ。これと同じだったのがエリツィン時代だ。だがこれは何の結果も生まなかった。それでも安倍氏がプーチン大統領と交渉を行わねばならないのはもうひとつ、ロシアと中国が反日というプラットフォームに立って接近することを許さないためだ。こうした事態となれば、日本にとっては悪夢でしかない。

第2に、安倍氏は自分のしいた対露関係の発展路線実県になんらかの進展があることを本当にアピールせねばならないのだ。米国がこの路線を良く思っていないことを示す証拠はますます挙げられている。米国務省の論拠のひとつに、我々はあなたに「その必要はない」とは言わない。ほら証拠にあなたは何も達成しなかったではないか。ところがあなたの行為は対露関係に関して西側の一枚岩の姿勢を侵食している。

岸田文雄 - Sputnik 日本
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第3に日本は実際にこの地域での孤立を危険視している。日本は対米関係の強化へ向かい、TPP合意を結んでおり、オバマ米大統領も中国がこの地域での貿易ルールを決めることは許さないと明言している。米国は中国に対する抑止を強化し、スピラトリー諸島に艦隊を派遣しようとしている。日本にとって見れば、状況は米政策の反中国要素が強化され、非常に憂慮すべき状態となっている。日本がもし中国との関係を築けないのだとすれば、今度はロシアと付き合うしかないというわけだ。」

「スプートニク」:だが安倍首相は中国、韓国の首脳との最高レベルとの3者会談に参加する構えではないか?

パノフ氏:「会談はおそらく何の結果も生まないだろう。大事なのは会談ではなく、実際の政治や実際の行動だからだ。」

「スプートニク」:プーチン大統領の訪日はロシアに何をもたらすか?

パノフ氏:「訪日が成立する兆しは何にも感じられない。だが訪日が成立したとしても、1度の訪問では何も変わらない。しかも訪問へのしかるべき準備は行われてもいない。」 

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