米韓 ピョンヤンに又も間違ったシグナル送る

© Flickr / (stephan)北朝鮮国旗
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韓国と米国は、朝鮮半島の非核化に関し、北朝鮮と対話する用意のある事を明らかにした。この提案に、北は加わりたいと望むだろうか? この問いを、ラジオ・スプートニク記者は、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ主任研究員にぶつけてみた。

イワノフ主任研究員の見解を以下、御紹介したい。

「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、現在これまでなかったほど、国際的孤立からの脱出を必要としている。数々の証拠から判断して、北朝鮮国内では、経済改革が活発化しつつあり、事実上、上からの部分的な資本主義化が進んでいる。それゆえ、この国は、国際的な交流の拡大を必要としている。

北朝鮮に対する米国の制裁を解く条件として、現在示されているのは、北朝鮮当局が、その核開発プログラムを完全に廃棄することだ。16日(金曜日)、ホワイトハウスで開かれたオバマ大統領と韓国のパク・クネ大統領の会談を総括して採択された声明の中では、米韓両政府は、北朝鮮が核保有国になることに決して合意しないと述べられている。これに関し、ロシアもそうである事を、ここで指摘しておきたい。

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しかし、現実主義者となって、米国の政策を考える必要がある。まさに米国の政策によって、北朝鮮当局は、核拡散防止条約からの離脱を決め、自国の核兵器製造に向けた作業開始を余儀なくされたのである。北朝鮮は、その枠内で、何度かプルトニウム・デバイスの爆発実験さえ行っている。そうしたことは、一度に行われたものではない。2000年代初め、北当局が韓国やEU諸国との関係を成功裏に確立した際、北当局は、下から始まった経済改革を公認し、自国の原子力発電所用の軽水炉の供給を、西側のエネルギー・コンソーシアムに期待した。これは、北朝鮮のあらゆる核開発プログラムを、IAEA(国際原子力機関)の管理下に置くことと引き換えになされる約束だった。しかし米政府は、思いもかけず、北朝鮮には極秘の軍事用のプログラムがあるとの非難を始め、原子炉供給は、中止となった。その対抗措置として、北朝鮮は、IAEAの査察官を追放し、プルトニウム・プログラムを再び開始したのだった。しかし北朝鮮は、対話の扉を閉じなかった、この事は、いわゆる「北朝鮮の核問題」に関する6カ国協議の開始をもたらした。

これは、北朝鮮を核拡散防止条約の枠組みに戻す絶好のチャンスだった。しかし、それぞれの段階で、交渉でやっと何らかの合意ができても、米国は、新たな非難を展開し、新たな要求を突きつけた。そうしたことは、合意しようとの北朝鮮の意欲をそいでしまった。北朝鮮当局に、米国に誠意あるゲームを期待するのは無理だとの理解が生じたのだ。そして数度の核実験が実施された。一回目の核実験後、韓国外務省の高官は、こうした危機を挑発した『北朝鮮に濃縮ウラン・プログラムがある』という非難には、いかなる直接的な証拠も、米国にはなかったと認めた。何のために、当時彼らは、国際的孤立から北朝鮮を抜け出させるプロセスを台無しにしたのだろうか?

これについて中国の専門家らは、米国政府は単に、北朝鮮と韓国。そして欧州との関係正常化、そして朝鮮半島の状況改善が進むのを許すことができなかったからだ、説明している。それらが事実上、米国を除外して、米国のコントロールを離れて行われていたからだ。

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そして現在、中東情勢、そしてウクライナ情勢をもコントロールすることができなくなった米国は、せめて朝鮮半島ではコントロールを取り戻したいと欲している。そのため、米国にとっては、北朝鮮が、米国が提起した条件のもと、彼らのルールに従って、合意の場に、そして交渉のテーブルに戻ってくることが必要なのだ。その条件とは簡単だ。北朝鮮が、再び、自国の核プログラムを凍結し、製造した核弾頭を廃棄することである。こうした要求は、恐らくは理にかなったものだが、合法性以外に、さらにそこには正義も必要だ。軍縮をする代わりに、大量破壊兵器を放棄しても、イラクやリビアで起きたようなことが起こらないよう、北朝鮮がしっかりとした保証を得られるようにしなくてはならない。しかし米国は、北朝鮮に対し、安全を保障することを欲していない。彼らは、北朝鮮の人達が、そんなに幼稚で素朴だと信じるほどに、無邪気なのだろうか? それとも米国人にとっては、現実として、北朝鮮の核軍縮など必要ないのだろうか? 恐らくは、答えは後者にあるのだろう。北朝鮮の核兵器は、準備段階にあり、今のところは存在していない、まだまだ米国の安全に脅威となるようなものではない。とはいえ北朝鮮の核の脅威という大騒ぎは、アジア太平洋地域での米国の軍事プレゼンスを強化し、対ミサイル防衛(MD)システムを構築するための素晴らしい口実になるというわけだ。なおMDシステムは、当然ながら、そもそも北朝鮮に向けられたものなどではなく、中国そしてロシアを念頭に置いたものだ。そうであれば北朝鮮の核軍縮など、特に熱望する理由などあるだろうか?」

 

 

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