テロとの戦い、日本は何ができるのか

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菅官房長官は19日、パリ同時多発テロの死傷者の中に日本人はいなかったと発表した。しかしそれはもちろん偶然だ。日本は伊勢志摩サミット・東京オリンピックなどのビッグイベントを控えており、テロの脅威は常に存在している。しかしテロとの戦いにおいて、日本は文字通り戦う、戦闘行為をすることはできない。それならば何ができるのか。元外交官で、現在は平和外交研究所所長の美根慶樹氏にお話を伺った。

スプートニク「日本は、テロとの戦いにおいて国際社会と緊密に連携をしていく意思を示しています。しかしもちろん、日本がIS空爆に参加しない・できないことは明白です。とすれば、具体的に日本は何ができるでしょうか」

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日本もテロ闘争に参加、でも出すのはお金だけ
美根氏「各国、すでに大変な努力をしていますが、まずはテロに対しての対応能力、つまりは警察力を高めることが必要です。それには国際刑事機構(インターポール)をより利用することです。インターポール自身が、まだ各国は十分インターポールを利用しきれていないと指摘しています。この活用度合いを、日本含め各国ともレベルアップしていくことが必要です。
IS戦闘員も問題です。欧州から多くの若者がISに多数参加しています。日本から参加する可能性があった人はいましたが、渡航せずに終わりました。移民の場合ですと若者の間でも更に生活状況が深刻です。こういう状況がある限り、極端な組織に走る人が出るのは避けがたいことです。各国の経済状況を改善することで若者のおかれている環境を改善し、社会に存在する矛盾を解消していかなければいけません。国際社会は、経済に関しては相互依存しています。経済の相互依存・相互利用をしながら全体を高めていくにあたって、日本は大きな責任を負っています。これは特効薬ではありませんし、目標が大きすぎて迂遠な方法にも見えますが、基本的なことです。

ISに対する武器の流入をコントロールする必要があります。極端に言えば、武器を多く輸出している国が、輸出を止めれば武器が流れなくなるわけです。武器の輸出入の流れ、特に非合法な流通を全体的に捉え、それをコントロールするのは有効な方法です。このために国連は様々な仕組みづくりをしています。例えば小型武器非合法取引の取り締まり強化などです。また、2年前に武器貿易条約(Arms Trade Treaty:ATT)が締結されました。この武器貿易条約を、テロ対策としても有効なものにできるように検討していく必要があります。これも日本のみならず各国の責任です。

日本では来年伊勢志摩サミット(G7)が開かれます。残念なことに今ロシアは外れてしまい、G8ではありませんが、上述のような課題がG7の主要議題になるのは間違いありません。日本は議長国として議論を積極的にリードしていく責任があります。」

スプートニク「日本は、ISの資金源を絶つことに協力できますか。例えばロシアでは、プーチン大統領が18日、『テロリズム資金提供に対抗する省庁間委員会について』の大統領令に署名しました。」

美根氏「資金源を絶つことは非常に重要ですし、比較的短期に効果が発揮しうると思います。資金源の断絶については米国が動くことが絶対的に必要です。資金の国際的な流通は銀行間の取引が基本ですが、米国の銀行はドル流通に関して特別な地位にあります。ですから米国の銀行と政府の協力が欠かせません。ISが利用する通貨はドルが多いので、ドル流通の対策強化が必要です。
また、資金源の関係で重要なのは民間の知識・ノウハウです。ロシアが各省庁の委員会を立ち上げたのは非常に良いことだと思います。一方で、資金の流れの把握というのは民間の専門的分野でもあります。政府で取り組むというだけでなく、この分野のスペシャリストの協力を得るべきです。具体的な問題になればなるほど、民間のノウハウが大事になってきます。日本も、大きな国際的な資金の流れの重要な一部分ですので、その中で果たすべき役割を果たしていくことになります。」

 

 

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