難民就労の鍵は日本の企業文化習得

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26日、ロシアでも人気のカジュアル衣料品チェーン「ユニクロ」を展開する株式会社ファーストリテイリングは、難民支援のための新たな取り組みをスタートさせると発表した。国内外のユニクロ店舗で難民雇用を100名に拡大する。現在は日本国内の店舗で13名の難民が働いている。そのほかにも、来年2016年から3年間にわたり、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に対し総額1000万ドルの支援を行う。ファーストリテイリングはアジアの企業として初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結しており、難民の採用者数を増やすことで、更に支援を拡大する意向だ。

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ファーストリテイリングの取り組みが注目される理由のひとつに、日本での難民、あるいは難民認定申請者の就労が難しいことが挙げられる。認定NPO法人・難民支援協会(Japan Association for Refugees)では、難民認定者だけではなく、難民認定申請中で就労資格がある人を含めて支援の対象とし、仕事を紹介している。同協会広報部・コーディネーターの田中志穂氏によると、難民認定申請者は平均で3年かかる認定審査の間、公的支援の生活費は受け取れるものの、それだけで食べていくことは難しく、基本的に自活しなければならないとのことだ。もちろん彼らが何のサポートも受けずに仕事を見つけることは非常に困難だ。

田中氏「もともと、まずは就労先を見つけるために、難民と企業とのマッチングをさせなければ、と思っていました。しかしそれですと結局就労先が見つかっても、ビジネス文化をよく知らなかったり、仕事に必要な日本語がわからなかったり等の様々な課題が出てきました。ですから今はまずマッチングありきではなく、準備段階のプログラムをしっかりと組み、必要な知識の提供や、お互いの期待値のすりあわせを行い、その後にマッチングを行うという流れになっています。」

​難民支援協会では就労準備前のプログラムを設けて、トレーニングを行っている。生活で必要な日本語と、仕事で必要な日本語は必ずしも同じではないため、トレーニングでは仕事の現場で必要な日本語に焦点をあてている。難民認定申請者はほとんど日本語ができないため、皆かなり苦労しながら学んでいるという。語学そのものだけではなく、働く上で必要な挨拶や、『5分前集合』『ほうれんそう(報告・連絡・相談)』といった日本のワークカルチャー・概念を合わせて学んでいくという内容だ。

田中氏「日本の労働文化に対して何の知識もないまま会社に入ってしまうと、『5分くらい遅刻してもいいだろう』という気持ちになってしまう人もいます。しかし企業によっては5分前に来るのが当たり前だったりします。お互いがお互いを知らないがゆえに誤解が生まれてストレスになってしまい、結局うまくいかず、退職してしまうという問題が何度もありました。そういうことを防ぎ、難民にとっても企業にとっても就労マッチングが良い出会いであるように活動しています。」

難民支援協会によると、就労に関する相談は年間で412件あった。具体的にマッチングが成立したのは直近1年間(2014年の7月から2015年6月まで)で17件だった。実績があった就労先としては、職人の担い手がいない中小規模のものづくり企業、語学力が生かせる商社、ホテルの清掃業などだ。

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