北朝鮮がこうして核による脅迫を続けるならば、韓国や日本が安全保障のために核兵器取得に走ることもあり得る、と専門家らは言う。日本は現在非核原則を固持しているが、一定の条件のもとでは、日本が自前の核兵器の開発に取り掛かったからといって、それを非難することは困難になる。また、今回の核実験に関連して、韓国では、米国の戦術核兵器を韓国内に再配備するべきだ、との声も上がっている。もし米国がそれを拒否し、かつ北が実験を続けるなら、韓国で自前の核爆弾製造への運動が急激に強まることは疑いない。
北朝鮮は、何がしたいのか?世界を驚かせたいのか。世界の関心を引きたいのか。
英国王立国防研究所の元所長、マイケル・クラーク博士によれば、北はおそらく、広く認められるということに、単純に満足しているのだという。
「ほかの国ならむしろ秘密裡に核開発を行なうところ、北朝鮮は核兵器を旗のように振りかざし、自分を核大国と認めよ、と要求するのだ。成功するかもわからない状態で、もう実験実施を触れ回った。彼らがいかに周到にこうした宣伝を行なっているかということは、彼らの国際政治観を示している。彼らは米国や中国と同列に立ち、誰もがそれを認めることを求めているのだ。それは我々から見ると不条理なことなのだが、おそらく彼らの目からは、そうは見えないのだ」。
「国際政治の焦点が極東から中東へ、欧州へ、ウクライナへ移ると、世界を緊張させることに慣れっこになっていた北朝鮮は、注目が奪われてしまったように感じてしまったのかもしれない。だからこそ、実験を急いだのかもしれない。北朝鮮をどうしたらよいのか誰にも分からない。制裁を強めすぎるとある時点で彼らは、言ってみれば窮余の一策で、掌を返す。これは相当に困難な同義的選択だ。不適切な指導部を揺さぶるためだけに、2000万もの人々を飢え死にさせてよいものだろうか?」
世界には核ポテンシャル増大にいそしむ国がかなり多くある。反対に、武装解除を叫び、そのために働く人たちもいる。しかし全ての理性的な人々は、核戦争を始めるのは無謀だ、と理解している。なぜなら核戦争は、それを引き起こした者をも破滅させないではいないからだ。