日米は台湾でウクライナのシナリオを再現できるか?

© AFP 2022 / Philippe Lopez蔡英文(ツァイインウェン)主席
蔡英文(ツァイインウェン)主席 - Sputnik 日本
安倍首相は、台湾の総統に民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席が選ばれた後、日本と台湾の関係がさらに発展することに期待を表した。一方で台湾における最近の政治的変化は、対中国ゲームで台湾を利用することが、日本と米国にとって魅力的であり続ける状況をつくり、地域情勢を著しく悪化させる恐れがある。

モスクワ国際関係大学国際問題研究所の上級 学術専門家のアンドレイ・イワノフ氏は、次のような見解を表している。

蔡英文主席の勝利は、台湾の外交政策を大きく変化させるための前提条件をつくり出す。敗北した「国民党」は、非常に賢明な政策を行っていた。同党は、中国本土との経済協力を積極的に発展させ、独立のことはおくびにも出さなかった。これが、台湾海峡をはさむ中台関係で現状を維持し、香港をモデルとした台湾と中国の統一に関する中国からの呼びかけに気付かないふりをすることを「国民党」に可能とさせていた。しかし、蔡英文主席は、中国との接近に反対する立場を表明している。加えて民進党は、台湾が独立を公式に宣言することを志向している。

無人機争い、北挑戦の脅威 - Sputnik 日本
無人機争い、北挑戦の脅威
しかし、台湾の独立宣言は、中国との戦争を引き起こす恐れがある。まさにそのため、中国との軍事紛争を望まない米国は、長い間、台湾の分離独立機運を妨害してきたのだ。また米国は、同国製の最新兵器売却に関する台湾の要請も拒否した。米国が中国との対立を望まない理由は、戦争が引き起こされる恐れがあるだけでなく、急速に発展する中国を、経済のみならず米国の地政学的パートナー、さらには米国の同盟国にするという願望があったからだ。しかし、世界を支配する米中の「G2」体制の形成という米国の夢が破れた後、米国は中国をアジア太平洋地域ならびに世界における米国の主導権に脅威を与える存在、ライバルとみなした。米国はこの脅威に対して、米国のアジア回帰という政策で対応し、明らかに対中国の傾向を持った環太平洋パートナーシップを形成した。

台湾総統選挙で中国との接近に反対する政党が勝利したことで、米国の中国封じ込め政策で台湾を利用するという誘惑が生まれることに疑いはないだろう。なお、この対中ゲームでは、日本が重要な役割を担う可能性がある。日本はすでに経済協力の助けを借りて、ベトナム、フィリピン、インドを対中戦線に引き込んでいる。このシナリオで進展した場合、ウクライナと同じようなことが起こる恐れがある。

なお中華帝国の一部だった台湾と、ロシア帝国ならびにソ連の一部だったウクライナでは、独立を求める人と、中国またロシアそれぞれとの関係維持を求める人が、ほぼ半分に分かれている。欧米は、ロシアはウクライナなしには偉大な大国として生まれ変わることはできないと考え、ウクライナをロシアの影響下から引き離すためにたくさんのことを行った。なおこれは、幻想であることが分かった。しかし、欧米が違法な手段で政権を奪い取ることを支持したことなど、欧米とウクライナの陰謀は、悲惨な結果をもたらした。ウクライナは事実上、崩壊してしまったのだ。ウクライナからクリミアが離れ、事実上、ドンバスも抜けた。ウクライナ経済は、ロシアとの関係が上手くいかなかったことで破綻の状態にある。

米国とその同盟国が台湾の分離独立機運を支持し、台湾を中国から「引き抜く」という試みを実施した場合、さらに悲劇的なことが起こりかねない。少なくとも、台湾経済が打ちのめされるだろう。そして残念ながら、台湾を奪い取ろうとする試みを、中国が軍事力で阻止するという非常に黙示録的なシナリオも除外できない。

なおウクライナの場合、ロシアはその戦争に引き込まれることを回避することができた。しかし中国がこのような「芸当」をやってみせることができるかは、分からない。

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