ロシア人専門家:中国ミサイルの改良により米国の西太平洋介入のコストが増大する

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ワシントンポストに代表される最近の米国メディアの報道によれば、米国は中国における核開発に対するアプローチを変更するプロセスを進めているようだ。事の発端は昨年9月北京で行なわれた大軍事パレードで、切り離し可能型個別誘導弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルDF-5Bが初披露されたこと。新ミサイルの意義を戦略技術分析センターのワシーリイ・カシン研究員が評価する。

中国がこの種のミサイルの開発を積極的に進めている最初の兆候が見られたのは1980-1990年代。その計画が今や現実のものとなったのだ。上述の弾頭で既存のDF-5ミサイルの再装備を行なう中国の動きは米国も認めるところだ。しかも各ミサイルが運搬可能な弾頭数は「1」から「最低4」まで増大した。

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中国にはDF-5がおよそ20発配備されているとされる。したがって、これらミサイルで米国本土に運搬可能な弾頭数は、20から80に増大したわけだ。DF-5はたしかに旧式で、発射準備に時間がかかり、精度も高くない。しかし出力は莫大である。中国がこれをもとに宇宙ロケット長征二号シリーズを開発したことももっともなことだ。DF-5はメキシコ北部含めほぼ北米大陸全体を射程に収める。

米国本土に届かせられる中国の弾頭数は60-70になるかならないかだ、と考えられたときもあった。今やそのくらいの数はDF-5だけで運搬可能だ。小型ミサイルDF-31Aとあわせれば、米国のあらゆる主要な政治的・経済的中心地に届く弾頭が軽く100はある、ということだ。他にも旧式のDF-31ミサイルやJL-2があり、米国北西部を攻撃可能とされる。

西太平洋での事象に米国が軍事介入した場合の対価は明らかに高まっている。そして、これは始まりに過ぎない。中国はさらに、やはり切り離し可能型個別誘導弾頭を搭載可能とされる小型ミサイルDF-31Bや重量級のDF-41まで開発している。中国の海上ミサイルも射程増大等で強化されるだろう。

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おそらく、2010年代の終わりまでに、米国にとって中国との軍事的対立に関連するリスクは、ロシアとの軍事的対立に伴うリスクに匹敵するものとなる。今、真剣に、東欧でNATOの同盟国を守るために米国がリスクをとるべきか否かが議論されているのだとしたら、フィリピンのような国の保護に努めることに対してどれほどの疑義が生じるか、推して知るべしである。アジアの重要性について話すことは簡単だが、米国の力の基本は、他ならぬ欧州における米国の政治的覇権である。米国にとっては、心理的に、アジアにおける後退は常に欧州で後退するよりも容易である。それを公然と認めることは難しいとしても。

中国の核ポテンシャル増大はこのように現代の世界政治の最も興味深いトピックの一つだ。ここにおいてこそ現代の世界秩序を変更するような事象が発生する可能性があるのである。

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