米国を孤立化させるつもりはない露中

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ユーラシアおよびアジア太平洋地域では、中国、ロシア、インドといった同地域の主導的国の参加する統合プロジェクトがパワーアップしている。露中印の国際情勢への影響力については、ロシア戦略調査研究所で行われた国際会議でもテーマに取り上げられた。同会議には露中印のほか、韓国、パキスタンの専門家らが参加している。

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は同会議に参加した印象を次のように語っている。

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「ロシア戦略調査研究所のコンスタンチン・コカレフ所長顧問の報告によれば、中国は「シルクロード経済ベルト」(「一帯一路」)構想の枠内でユーラシア諸国60カ国の900件のプロジェクトに9800億ドルを投資する構えだ。このプロジェクトは慈善的な性格のものではなく、何よりもまずユーラシア圏での中国の経済的ポジションを強化することを目的としている。だが、中国の投資を獲得できるとあって、もちろんヨーロッパは大喜びしている。なぜなら100万人の雇用創設を行うという欧州委員会ジャン=クロード・ユンケル委員長の野心的プロジェクトの実現には、3000億ドル以上も足りないからだ。ところが問題なのは、コカレフ氏の指摘によれば、中国との協力プロジェクトの運命は各国の政府ではなく、EU政府の 肩にかかっているのだが、そのEU政府には米国が絶大な影響力をふるっており、その米国は欧州における中国のポジション強化を嫌っていることにある。

米国はご存知の通り自流の統合プロジェクトを操作している。TPPもその一例だ。日本はTPPに参加することで米や豚肉、自動車の生産に損失を蒙る恐れがある。韓国はというと、現段階ではTPP加盟を決めかねている。ソウルにある漢陽(ハニャン)大學校のアジア太平洋調査センターのオム・グホ所長は韓国の抱える憂慮について、TPPに加盟したがために北朝鮮との協力が難しくなり、ユーラシアでの統合プロジェクトへの参加ができなくなるのでは、ということにあると語っている。

一方でユーラシアでの統合プロセスは勢いを増している。中国の「シルクロード経済ベルト」というイニシアチブに答え、モンゴルのエルベグドルジ大統領はロシア-中国-モンゴルという3者フォーマットの開始を提案した。モスクワ国際関係大学、東アジア・上海協力機構調査センターのイーゴリ・デニソフ氏は、モンゴルのイニシアチブの目するところは隣国のうまみを利用し、モンゴル国内市場での彼らとのライバル争いを避けることにあるとの見方を示している。

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会議に参加したセルゲイ・グラジエフ・ロシア大統領補佐官、地域経済統合問題担当は上海協力機構加盟国について、多くの経済リソースがあり、それをひとつに束ねれば、ユーラシア全体の発展に最強のてこ入れができるはずと語った。こう語る一方で、クラジエフ大統領補佐官は、上海協力機構にとっても、ユーラシアの他の統合プロジェクトにとっても危険となりうるのは、米国側からの抵抗にあう恐れがあることで、米国の一連の具体的な経済プロセスは独占性を失いつつあるため、その政策はより攻撃的な性格を帯びてきていると指摘している。

ロシア戦略調査研究所、アジア中東センターのボリス・ヴォルホンスキー副所長は、ユーラシアにおける紛争がまさに中国、ロシア、インド、パキスタン、イラン、中央アジアの統合プロジェクトが実現され、交差している場所で起きているというのは決して偶然ではないと語る。ヴォルホンスキー氏は、ロシアはアジア太平洋地域の統合プロセスにアクセスする上で、それをロシアの進めるシベリア、極東開発プロジェクトとリンクさせてコンセプトを策定する必要があること、さらにロシアは、中国の新シルクロード構想やロシアと上海協力機構の行うユーラシア経済圏のプロジェクトなど、「垂直方向」のプロジェクトにとどまらず、ロシア、イラン、インドの参加する南北を貫く「垂直方向」のプロジェクトにも参加することが肝要だと指摘している。

会議では、露中の率いるユーラシア統合プロジェクトの目的は米国を孤立させることにあるのではなく、大小の諸国の国益が平等に考慮される、より公平な世界秩序の構築にあることが指摘された。

 

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