日本の空手チャンピオン ロシアでの生活と「ロシア式」空手

© 写真 : Stanislav Dmitrov日本の空手チャンピオン ロシアでの生活と「ロシア式」空手
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極真館主催の全日本空手道選手権で4度の優勝、世界選手権でも数々の賞を受賞している空手家の藤井 脩祐さんが、通信社「スプートニク」のインタビューに応じてくださった。藤井さんのロシア生活は通算4年。藤井さんは、「スプートニク」のインタビューで、ロシアの空手について、そしてロシアに訪れたことが極真空手の理解にどのような影響を与えたのかについてお話してくださった。

極真館は、ロシアで最も急速に発展している空手の流派だ。ロシアの空手道場は長い間日本の支援の下で発展してきたが、最近ロシアの空手家たちはそこになにか独自のものを取り入れることに成功した。また試合ではレベルの高さを披露し、日本の空手家たちが「ロシア式空手」から学ぶものがあるほどにまで成長した。

スプートニク:ロシアでの生活はいかがですか?

藤井さん:今2回目のロシア生活なんですけれども、1回目は2009年から2013年まででした。2回目は2015年の6月からなのでちょうど1年になります。ロシアの生活は結構僕にあっていると思います。食べ物もそうですし、日本で味わえないちょっと緊張する生活感が僕にとってちょうどいいかなと思っています。

スプートニク:ロシアの極真空手と日本の極真空手の違いは何でしょうか?

藤井さん:大きな違いは国から受けるサポートと派閥の問題だと思います。派閥に関しては、日本国内における各極真の流派はそれぞれ別々に活動しているんですけれども、ロシアではもちろん別々に活動しつつも、国によりひとつの組織にまとめようという流れが大きいです。また極真ワールド・ユニオン(KWU)という組織は(発起人である)ロシアのトルトネフ副首相が音頭をとり、トップに立って極真をすべてまとめてオリンピックに出場させようとしていることを見ても、ロシアは国のサポートを受け今後極真をまとめていくような流れになっていくんじゃないかなと感じています。

スプートニク:ロシアの極真の選手たちのレベルについては、どのようにお考えですか?

藤井さん:正直、実績を見ても世界では相当上のレベルにあると思います。また選手層が厚い。今日本では選手の高年齢化や減少が問題になってきていますが、ロシアではどんどん下から若い強い選手たちが上がってきています。それを踏まえて今後もロシアの強さは維持されていくのではないかと思います。

スプートニク:ロシア人選手と日本人選手の違いは何でしょうか?ロシアで生活し、ロシアの選手たちとトレーニングしていて、空手の認識に変化はありましたか?新しい技術の発見などはありましたか?

藤井さん: 一番注目したのは身体操作の違いです。日本人の体の動かし方とロシア人の打撃を打つ時の体の動かし方はぜんぜん違います。基本的にロシア人は関節を硬くし、骨格で打撃を打ちます。当たる瞬間の締める強さや、一発のインパクトが日本人とは違います。この違いを知ることで日本人の良い部分と今後必要となる稽古の方法を考えました。日本人は特にやわらかい動きや、受け・捌きの動作が得意なので、それにロシア人の攻撃の際の関節の締めをミックスしてやわらかさと硬さをうまく融合させればすごく強くなるんじゃないと考えつき研究しています。身体で打撃受けた感触ですが、日本人の打撃は深さと重さ、力の持続時間が長いことが特徴的だと思いますが、ロシア人の攻撃は瞬間的な締めの動作が速く、インパクト時間が鋭く短い。これが相手に突き刺さるんです。当たった瞬間、拳や腕の重さだけではなく、全身の重さが一点に伝わります。それが関節の締めの強さです。その打撃技術が、ロシアに来て一番勉強になりました。

藤井さんはおしまいに、ロシアの極真のためにできることとして、「人単位でのコミュニケーションが大事だと思います。基本的に日本が極真全体のリーダーシップをとっていくことは最も重要な事ですが、その中心となるべき日本の組織間のしがらみに多くの国の選手や指導者が困惑しているのを現場で見てきました。これはロシアだけではないかもしれませんが誤解やコミュニケーション不足で人間関係が崩れて組織のバランスに影響したりしているので、そのようなところで国際的なバランサーに上手くなれればと思っています」と語っていた。

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