日本にもロシアにもある逆切れワーカホリック

© Flickr / hiroo yamagata日本にもロシアにもある逆切れワーカホリック
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ノルウェーのベルゲン大学が先日、発表した調査結果は、ワーカーホリックと精神的異常の相関関係を浮き彫りにした。ワーカーホリックになる人は精神異常を抱えていることが多く、恐怖感にさいなまされ、鬱になりやすく、理由もなく攻撃的になったり、自殺に走ることさえある。

労働熱心なのはどこでも高く評価され、ワーカーホリックは時に間違って、過剰な責任感の持ち主だの、目的に邁進する人間で仕事の虫だととらえられる。これが特に顕著なのはメガロプリスで、こういった大都会では仕事から離れ、リラックスするチャンスに乏しい。その結果、必要性から、または自分から仕事の山を抱える人たちは「逆切れコンプレックス」または学術的には医療者らの言う21世紀の病、燃え尽き症候群に罹ってしまう。

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日本ではこれは時に異常なほど行き過ぎた形をとってしまう。緩慢な仕事ぶり、がんばらない、力を節約するというのは日本人の考えでは一番大きな罪だ。こういう人はすぐさま社会でぷかぷかと浮くか、非難の的になる。とはいっても人間の力は際限がないわけではない。それに限界だって必ずくる。一番顕著な例があまりの緊張に死にいたるケースだ。経済大国の中で日本はこの問題に最初につきあたった。「カロウシ(過労死)」という言葉はもう世界共通のボキャブラリーになっている。

もちろん日本人たちの間にだって怠け者もいるし、なんの役にも立たない、働く力のない人もいる。だがそんな彼らだって日本社会の大事なきまりをよくよく心得ている。それは建前として勤勉らしく振舞うことも本物の勤勉に巻けず劣らず重要だということだ。日本のとある大企業での勤務経験がある米国人、G・レイノルド氏はそれを次のように描写している。

「日本人は実際、どれだけ仕事が溜まっているか、いないかに関わらず職場ではものすごく忙しいふりをしていなければならないと思っている。これを見せるにはとにかくせかせかと早足で動き回るのが一番だ。3メートル先にあるプリンターにたどり着くのに歩くのではなく走るとか、ビジネスレターを書くのにキーボードを猛烈に叩くとか。その人が本当に仕事熱心さであるということも、その外見も同じように勤勉であるという『徳』につりあっていなければならない。このためせかせかした働きぶりも軽いパニック状態も周囲の人間に自分のものすごい仕事量を示し、これぞ理想のサラリーマンというところを見せるためには大切なのだ。」

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絶え間ない競争と変化への迅速な対応が求められる市場経済への道にロシアが歩みだしたのは日本よりずっと後だ。今やロシアの企業が社員に求めるのは単なる勤勉さにとどまらない。速攻のレスポンスも一度に複数の仕事をこなす能力も求められている。職場で常に緊張が続くために、統計ではロシア人のほぼ25%が慢性の疲労感に悩まされている。

心理学者のエカテリーナ・レーヴィン氏は次のような見解を表している。

「燃え尽き症候群は我々の時代の深刻な問題だ。今我々は経済危機のただなかにある。社会的、物質的に安定した状態がいつまで続くのかわからず、失業しかねない不安を抱えている。権威の高く、給与の高い仕事につく競争は激化し、仕事量も増えていく…。その結果、これは全部精神状態に反映され、ときに悲しい結果を招いてしまう。

10年前、こうした状態にあったのは40代だったが、いまや自分の人生を分析し始める年齢の30代も同じようになってきた。それでも今は社会はものすごい勢いで発展しているので、燃え尽き症候群にかかる年齢も若年化し、25歳でもありえる。

これはまず、その人が独自の価値観をもたず、欲する、欲せずにかかわらず周囲の人間の価値観にあわせて生きている場合だ。たとえば企業で働かねばならず、出世階段を上らねばならないとか、管理職を目指さねばならないとかいうものだ。そうでなければその人は大半の人の目にはイニシアチブにかけた役立たずに見えてしまうからだ。だが、最初から職場で抜きん出ようという目的を持たないような『卑小』な人も燃え尽きる確率は高い。特に自分が苦手な仕事をやらされているとか、状況に屈してちっぽけな役職に長く座らされている場合にそうなりやすい。この場合、若い人はさっさと仕事を変えればいいが、年齢がいくとそうもいかず、危機的状態になってしまう。こうした人たちは変化の恐怖はとてつもない不快を呼ぶからだ。」

昔から怠け者は非難の対象にされてきた。だが医療関係者も太鼓判を押すように、最も優れた解決法や抜群のひらめきが訪れるのは脳が受動的状態になっているときのことが多い。

 

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