英国の国民投票で即EU離脱ではないが日本は最少リスクも見逃せない

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英国の国民投票の結果発表後、下落した証券インデッックスも回復し、為替市場も比較的安定化してきたが、日本には先行き不透明感は残されている。そうしたアクチュアルな問題の一つが日本とEU間の自由貿易合意の今後だ。この自由貿易合意には双方ともが関心を払っている。安倍首相は今年5月の日本で開催されたG7サミットで「我々はこでが2016年末までに行なわれると考えている」と語っている。ところが今、林経済産業相の評価では課題は容易くはない。

コンサルタント企業「アルパリ」のアナリスト、アンナ・ボドロヴァ氏は合意締結は多くは日本の出方にかかっているとして、次のように語っている。

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「私はこれを阻害するものは何もはないと思う。なぜならば合意締結は個別の国が相手ではなく連盟の形をとるものだからだ。連盟はまだ存在しているし、現在それを脅かしているものはない。英国人が表した意思はEUからの離脱ではまだない。ただ英国議会は国民の意思の表れをこれから考慮していかねばならないということだ。この先、とりうる形はいくつかある。キャメロン首相は10月に辞職することを明らかにした。議会は新たな首相を選ぶが、その新首相が再び国民投票を実施しようとするかもしれない。再度国民投票が行なわれたとして、元の状態に戻る可能性もかなり高い。もうひとつのパターンだが仮に英国政権がEU離脱の準備を始め、その結果を計算したとしてもひょっとするとこの問題の検討をタイムアウトにしてしまう可能性もある。これにはかなりの時間がかかる。だが合意締結は多くは日本の出方にかかっている。日本にとってEUとの自由貿易合意は英国のリスクより大きな意味を持つかどうか。私は持つと思う。このためここでは特別な障害は一切あるはずがない。ありうるのは何らかの形式、追加条項だろうが、合意案自体が何かに阻害されるという事はありえないと思う。」

6月27日月曜、安倍首相は日銀に対し必要となれば英国で事業を行なう日本企業に対して財政資金を拠出するよう呼びかけた。こうした企業の数は1000社にのぼる。これらの多くにとって英国は単に主たるマーケットの1つにとどまらず、EUへの「窓」の役目を果たしている。

危険にさらされてしまったのは英国で出された許可書を有し、EU全体にサービスを提供する権利を持っている巨大金融コーポレーションだ。たとえば野村ホールディングスの支社もそうだ。ロンドンで働く野村の社員は2500名いる。状況がうまい方向に発展しなかった場合、オフィスをパリかフランクフルトに移さざるを得ない事態もありうる。ロンドンに本社を置くキャノンも戦々恐々としている。このオフィスは欧州、アフリカ、中東での年間1兆円の売り上げを管理している。日立だって憂慮する理由は十分にある。日立は主たるライバル企業である独のシーメンスに対抗しようと、欧州市場に生産拠点を近づけるために鉄道担当部門のヒタチ・レールウェイ・システムズをたった2年前、日本から英国へ移したばかりだ。

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困難な事態になると予想しているのは日本の自動車メーカーもそうだ。自動車メーカー各社は英国をEU全体にオリエンテーションするためのベース基地ととらえてきた。まさにこの目的でトヨタ、日産、ホンダは英国に巨大な工場を建設してきた。日産の英国進出はすでに30年前からで、生産台数は年間50万台に上っており、その大半がEUに輸出されている。
ボドロヴァ氏は英国がEUから離脱した場合、タリフは上がる危険性があるとして、さらに次のように語っている。

「日本の輸出ではかなりの部分が欧州市場への供給でなりたっている。だから日本の産業界には安定した長期的パートナーと契約の堅実性を確保する事が重要なのだ。こうしたことの重要性は日本のパートナーらにとっても変わらない。特に最小限度の政治、経済リスクが影響してくる支払能力に話が及ぶとなればなおさらだ。ところが日本経済は今、最小限度のリスクでも軽視できる状態にはない。ここ数年、日本は経済を刺激するため巨額の資金を投入してきている。ということはつまり国家債務も常に膨れ上がっているということだ。現段階では日本政府はそれをどうするつもりなのかについては口をつぐんでいるがメーターは回り続けている。日本政府がインフレ、消費の活性化、GDPに関して掲げた目的を達成したとき、この国家債務に関する恐ろしい問題が立ち上がってくる。これにさらに長期的な貿易経済パートナーが両足を引きずり始めたならば、情勢は完全に容易いものではなくなってしまう。」

 

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