金正恩氏 初めて制裁の対象に

米国は初めて、北朝鮮の指導者金正恩氏と一連の官僚そして組織に対し、人権を体系的にひどく侵害しているとして制裁措置導入を決めた。制裁リストの中には、強制労働収容所が管轄下に入っている人民保安部や法務担当省矯正部のほか、つい最近、国防委員会が改編され生まれた国務委員会も含まれている。

金正恩 - Sputnik 日本
北朝鮮 金正恩氏による「唯一指導体系」強化
この措置は、米国務省の報告書発表と同時に講じられた。この報告書の中には、超法規的処刑や強制労働及び拷問に関与しているとの金正恩非難が含まれている。米国務省のジョン・キルビー報道官は「北朝鮮国内の人権状況は、世界最悪のものの一つだ」とし「制裁リストは、時間の経過とともに増えてゆくだろう」と言明した。

制裁というのは実際のところ、米国の経済システムへ入ることができなくなり、米国の管轄権下にあるような国々での口座が凍結されることを意味する。そして米国の企業や個人は、制裁リストに入った個人や組織と実務的コンタクトすることが禁じられる。米国の官僚達は、生まれつき間違いなど絶対に侵さないとされている国の領袖、金正恩氏を「ブラックリスト」に入れれば、北朝鮮指導部の激しい怒りを呼び起こすことぐらい非常によく理解している。 それゆえ、あらかじめ北朝鮮当局に対し、国内にさらに大きな緊張をもたらすような言動を控えるよう求めた。その際、専門家そして米国の官僚自身、それがシンボリックなジェスチャーであることを認め、制裁が導入されても、対北朝鮮政策に影響は恐らくないと考えている。

制裁導入発表後、北朝鮮は、直ちに反応した。北朝鮮外務省は、米国の行動は「宣戦布告」であり「米国との問題はすべて、戦時の法律により今後決められるだろう」と伝えた。一方中国政府だが、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関連して3月2日に採択された対北朝鮮国連制裁決議を支持したものの、今回の米国の一方的な制裁には反対の立場を表した。

ロシアを代表するコリア問題専門家で、現在ソウルのクンミン大学で教授を務めているアンドレイ・ラニコフ氏は、今回の出来事について「北にとって主な要素は、中国の立場だ」と捉え、次のように指摘した-

北朝鮮を混乱させておいて、中国は怖くないのか? - Sputnik 日本
北朝鮮を混乱させておいて、中国は怖くないのか?
「制裁が、どのような影響を及ぼすか、今のところは分からない。私の見るところ、ここで主要なファクターであるのは、中国の立場だ。中国は、ここ数カ月、北朝鮮に対する自らの政策を急激に見直した。ここ2-3年間、中国は、これまでなかったような厳しい立場を北に対し示し、多くの問題に関し、米国と共同して積極的に圧力をかけていた。しかし今や、急激な転換が生じた。これは、対米関係の先鋭化、中でも南シナ海での状況の変化によるものだ。もちろん中国自身は、北朝鮮の行動には満足していない。しかし、この国への圧力強化が、朝鮮半島の不安定化を呼び起こすことを真剣に懸念している。もし中国が、あれやこれやの形で、この制裁のサボタージュを決めるとしたら、制裁は完全にその力のもとに置かれる。北朝鮮の商品取引の事実上すべてが、中国経由で行われていることを忘れてはならない。北朝鮮の対外貿易について言うならば、事実上それば、北朝鮮と中国の間の貿易である。つまり、もし中国が、米国が進めようとすることをある程度妨害し、北朝鮮を助けるならば、制裁の持つ効果を著しく小さなものにすることができる。もし中国政府が、多かれ少なかれ、中立的な立場を取るのであれば、制裁の打撃はもっと感じられるものとなるだろう。しかしそれでも破滅的影響はない。そうでなく、中国が積極的に制裁を促すのであれば、それは北朝鮮を、遠く後方に後退させることになる。」

8日、米国と韓国は、在韓米軍へのTHAAD(終末高高度防衛ミサイルシステム)配備を最終決定したと発表した。遅くとも2017年末までの運用開始を目指すという。これにより、米中の対立はますます厳しいものとなった。新しいシステムは、北朝鮮に向けられたもので中国ではないとの声明が出されても、これは間接的に中国に脅威を与えようとするものだとの疑念は、根拠があると言わざるを得ないだろう。

このところ米国は、中国の周囲の国々、韓国や日本、フィリピンそしてベトナムと協同行動をとってきたが、そのどれもが、中国政府にとって見れば 北朝鮮国内における人権侵害や、自らを「核大国」のリーダとみなしたい金正恩氏の試みなどに比べ、遥かに大きな苛立ちであったと言ってよい。

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