ロシア商工会議所会長セルゲイ・カトゥイリン氏
「何らかの躍進を遂げられることを願っている。もし今回平和条約調印がなされなかったとしても、経済分野ではある種のより活発な行動が始まるだろう。日本の技術や人材、財源の面で、日本がより積極的にロシアと仕事をし始めてくれることが、我々にとってきわめて重要だ。もちろん、日本がロシア極東の経済協力に参加してくれたら、それは良いことだ。しかし、何も極東に限らない。我々には様々な分野で一緒に働くことができるような多くのプロジェクトがある」
議会上院国際員会議長コンスタンチン・コサチェフ氏
「今回の訪問は間違いなく露日関係に弾みを与える。このようなレベルのコンタクトであれば常にそれは前進なのだ。こうした訪問は立場の擦り合わせのためにこそ組織される。それが実現するかどうかは両国首脳の意思と決意次第だ」
上院議員、政治学者ウラジーミル・ルキン氏
「今回の訪問に最大の期待をもっているが、実現するのはそのうちの一部分だけだろう。日本との関係は我が国にとって非常に重要だ。日本への大統領の訪問の結果、日本との間にあるすべての問題を解決できると考えている楽天家もいることだろう。しかし、私はこれらの問題にあまりにも長く携わっている。ゆえに私はより慎重な立場を採る。実際的な貿易・経済協定が締結されることを願う。だが、領土問題については、第一に、日本側もロシア側もだが、国内的な事情により、即座に解決されるにはあまりにも複雑なのだ、ということが最も重要なことだ。それはすでに数十年解決されておらず、その極端なまでの複雑さのため、今後も一定期間は最終解決されないだろう。しかし、小さな一歩一歩でも、最後には何かの形にあなる。必要なのは問題解決を誠実に希求することだけだ」
「数回延期された訪問が実現するという事実、また、故郷の山口で会談するという事実は、日本の首相がプーチン大統領を隣の大国のリーダーとしてだけではなく、友人として見ようとしていることを示している。交渉の一部は、より良く互いを理解するため、非公式の雰囲気で開催される。これは良いシグナルであり、彼らは多くのことについて合意することができると思う。しかし、ここで重要なのは、交渉の背後にどのような発展戦略があるかということだ。両指導者またはプーチン大統領が会談に先立つ二国間ビジネスフォーラムを訪問する可能性がある。そこでは安倍首相に提案された8項目プランのそれぞれが議論される。その本質は、日本がロシアにアジア太平洋諸国に焦点を当てた生産設備を構築する可能性を供与する用意がある、ということで、それはむろん、ロシアにとっては極めて有益である。明らかに、具体的なプロジェクトや方向性に沿って、相互的な欲求が前に進んでいるのだ。日本側は、まずは島を、次に協力を、というモデルから離れたように私には思える。島に関する交渉と経済協力に関する交渉を並行して進めることが決められたという事実は良い兆候だ。島の問題に関する飛躍については、それはただ1956年宣言の枠組みの中でのみあり得る。今回の交渉で飛躍が起きなくても、議論を継続する意思は確認されるだろう。それはすでに前進と考えることができる」
モスクワ国立国際関係大学教授、米国・カナダ研究所職員、元駐日ロシア大使アレクサンドル・パノフ氏
「飛躍はまずない。合意は確定されるだろう。ロシアとの経済協力実現を目指す安倍首相の方針は堅持される。今我々は会談において調印されるべき協定に積極的に取り組んでいる。これは非常によい傾向だ。我々はこれまで度々日本人に言ってきた。経済関係を発展させよう、そうすれば我々は、妥協点を見つけることが容易になるような信頼レベルに到達する、と。妥協はほぼすべての状況において可能だ。問題は譲歩のコストだ。プーチン大統領は基本的に譲歩の限界を1956年宣言に置いている。日本側ははっきりと回答を示しておらず、今後何がどうなるか、予断は困難だ。両者ともに前向きであり、ロシアも日本も建設的作業に意欲的であるのは喜ばしい」