プーチン・安倍会談:妥協は避けられないが、それは実現するか?

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プーチン大統領、安倍首相 - Sputnik 日本
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12月15・16両日行われるウラジーミル・プーチン大統領の日本訪問は、領土問題を解決するものとはならないだろうが、二国間関係を改善するだろう。ロシア極東研究所の専門家達は、記者会見でそうした意見を述べた。

大西倉雄氏 - Sputnik 日本
プーチン大統領訪日に備える日本
極東研究所日本調査センターの指導者ワレーリイ・キスタノフ氏は「最高首脳会談において基本的テーマとなるのは、明らかに両国の可能性と要求に応えていない経済協力問題だろう」との見方を示した。日本の対外貿易取引においてロシアが占める割合は1.4%に過ぎず、一方ロシアの対外貿易において日本の占めるそれは4.6%だ。これは、キスタノフ氏の言葉によれば「許すべからざるレベルの低さ」である。キスタノフ氏は「ここにおける問題は、日本の実業界がロシアと関わりを持つのを望んでいないことにあるというよりも、ロシアでのビジネス活動の可能性に関する日本人の情報不足、加えてロシアにあまり好ましい投資環境が整っていないことに起因する」と指摘した。しかし氏は、希望を捨てていない。プーチン大統領訪日時に期待されるひとまとまりとなった文書の調印は、貿易経済関係の否定的な傾向を克服する助けになるに違いないと考えている。

よく知られているように、ロシアとの共同経済行動を目指す安倍首相の立場は、米国内に苛立ちを呼び起こしている。米国はそれを、ロシアに対するG7の団結した立場に反するものとみなしている。日本国内自体にも懐疑的な見方が存在する。安倍首相は、ロシアに対する経済援助を先走り過ぎ、その見返りとなる領土を得られないかもしれないと見る向きもある。

しかし、これに対して極東研究所のエキスパート達は、安倍首相の持つロシアに対する関心は、もっと幅広いもので、東アジアにおける日本の戦略的ライバルとみなされている中国と間接的に結びついている、と捉えている。日本国内には、露中の接近は避けられないが、一方だけに偏った状態は、日本にとってもロシアにとっても危険だとの理解がある。

プーチン大統領の日本のマスコミとのインタビュー内容を読み取る - Sputnik 日本
プーチン大統領の日本のマスコミとのインタビュー内容を読み取る
それゆえ極東研究所のセルゲイ・ルジャニン所長は、次のように述べている-

今回のプーチン訪日は、ロシアは東アジアにおいて親中国政策をとっているとする見方を払拭する役に立つ。あべこべに訪日は、ロシアの対外政策の柔軟性と独立性を確認するものだ。もし今回の訪問が、領土問題を解決しなくても、二国間関係は悪化することはなく、かえって改善されるだろう。」

またキスタノフ日本調査センター長は「日本は、周囲のあらゆる隣国と領土争いを抱えているが、ロシアだけが最高首脳レベルで、このテーマについて日本と交渉することに合意している」と指摘し、日本のマスコミが、南クリルの若干の島に対する共同管理から共同立法地域の創設まで、比較的様々な問題解決のバリエーションを報じていることに注意を促した

日本政府は、こうしたバリエーションのうちのどれか一つロシア側と合意すれば、領土問題を、全く動かない状態から前へと進めることができる、と考えている。

13日に行われた読売新聞及び日本テレビによるインタビューの中で、プーチン大統領は「ロシアには、日本との間に領土問題はないが、もし日本側が、そうした問題があると考えるのであれば、ロシア政府は話し合う用意がある」と発言した。一方先に安倍首相は「私の世代で、この問題に終止符を打つ。この決意で(プーチン大統領との会談に)臨みたい」と述べている。

キスタノフ日本調査センター長は、こうした安倍首相の発言にコメントし、次のように続けた-

安倍首相とプーチン大統領 - Sputnik 日本
温故知新:いつ、どこで安倍首相とプーチン大統領は会ったか【写真】
「15・16両日の大統領の訪日中に領土問題に終止符が打たれることはないだろう。安倍首相が終止符を打つ意向であることは、当然のことだ。プーチン大統領にも、終止符を打ちたいとの考えがある。ただそれぞれ、自分流にその事を理解している。日本は、この問題の解決なくして平和条約調印の考えはない。しかし島をめぐる双方の立場には、大変大きな違いがある。ロシアが日本に4島すべてを譲渡する事など、おそらくあり得ないだろう。また日本側が、4島すべてを拒否することもあり得ない。つまり何らかの歩み寄りについて話す必要があるのだ。」

1956年の共同宣言のシナリオに従って、南クリルのうち2島を日本に譲渡される事は、あり得るかとのスプートニク記者の質問に対し、キスタノフ氏は次のように答えた-

「理論的には許されるが、事実上それは絶対に不可能だ。会談では、この問題の解決をさらに進める公的な決まりが作られるだろう。現在、どのような妥協が可能であろうかという問いの周りですべてが回っている。双方の面子が立つような何らかの公的決まりが考え出されるだろう。双方にとって同じく受け入れ可能な問題解決の『魔法の鍵』を見つける必要がある。」

ロシア極東研究所日本調査センターの指導者キスタノフ氏の考えでは、もしプーチン・安倍会談において、領土及び平和条約締結問題解決のための所謂「ロードマップ」が作成されたならば、それだけでも今回の出会いは、実りの多いものとみなすことができる、とのことだ。

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