ロシアは日本の投資に劣らず「日本」を必要としている

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プーチン露大統領と日本の安倍首相は2日間に渡った経済取引交渉を終了した。第2次世界大戦の終戦後、二国関係に暗雲を垂れ込めさせてきた領土問題には待望のブレイクスルーはついぞ起こらなかったものの、首脳会談の結果、双方はあわせて68もの大型合意を締結した。

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先日の安倍・プーチン首脳会談に関する世論調査に参加した日本人回答者の半分以上がその結果に失望したと答えている。専門家らはこれについて、日本国民はロシア大統領の訪日に過度な期待をかけていたためと説明している。ロシア大統領の訪日は長期に渡って準備され、何度も延期されていたため歴史的な出来事とされた。安倍首相自身はロシア大統領の訪日結果に極めて高い評価を与え、「大統領の訪日は日露関係に新たな、大幅な飛躍をもたらした」と語った。安倍首相は最も大きな達成として、4島での共同経済活動についての合意達成に漕ぎつけたことを挙げている。

だが果たして安倍氏はこの外交上の成功を堅持し強化できるのだろうか? 国内で選挙民の抱いていた過度の期待にまして、日露関係の改善に真っ向から反対する者らとの対決を強いられることはないのだろうか?

スプートニクはこれに関して日本の専門家、アナトーリー・コーシキン氏に見解をたずねた。

「プーチン大統領の訪日は組織したのは実際は日本外務省というよりも安倍氏に非常に近側にいる経済産業省内の人間だ。それは日本外務省が圧倒的大多数が親米派の外交官で占められているからだ。こうした人間らは日露の協力拡大プロセスを何とかしててこずらせようとしてきたし、これから先もそうするだろう。この他日本には非常に強力な右翼団体が存在しており、これがことある毎に露日関係の正常化への道に横槍を入れてくる。それでもこうした圧力や世論に依拠する必要はない。我々はまず日本の実業界の具体的でプラグマティックな関心 に立脚すべきだ。日本のビジネスはロシアとの協力が有益なのであれば、条件、プロジェクトを問わずそれに向かう。その好例が70年代のあの冷戦のさなかにソ連はかなり活発に日本との協力を行なっていた事実だ。当時日本はソ連と協力を行う資本主義国の中ではドイツを1位、2位を争っていたのだ。」

コーシキン氏は、多くの専門家の日本は興味はロシアのエネルギー資源に尽きるという見方とは見解を異にしている。

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「日本経済は今、非常に容易ではない時期にある。確かに破綻というわけではないが、それでも四半世紀もの間、経済は停滞状態にある。かつての経済ブームの時のような成長率など話にはあがらない。このため日本は資本をどこで動かすか、ずいぶん前から相当気をもんでいる。

東アジアを見れば日本の援助や投資に今までのような鋭敏な関心を寄せる国は減る一方ではないか。このため地図を見わたせば、日本の実業界と資本にとって今、特に将来性があって唯一有益な場所といえば、遅れているとはいえ広大なロシア極東、シベリア地域だということを日本の実業界はよくよく理解しているのだ。しかも投資魅力の高いこの広大なロシアの地域は中国、ベトナム、韓国の手にあっという間に渡ってしまいかねない。

だが一番日本が恐れているのは、日本が優柔不断な態度でいるがゆえにロシアをさらに中国の側へと追いやることだ。これこそ日本にとっては一番頭の痛い危険な話で、特に軍事分野での露中の協力が進むと困る。」

この他にも日本をロシアとの妥協と協力へと急がせる要因はトランプ氏が対日関係、ひいてはアジア全体との関係をどうするのか、その路線が最後まではっきりしていないことだとコーシキン氏は指摘している。

「トランプ氏は米国自身が抱える問題の解決に集中するよう呼びかけており、これはもちろんの事日本には課題を課している。トランプ氏はこの際にはっきりと日本は自国の安全保障にもっと力を金をかけるべきだと発言しており、力が足りないなら日本も原爆を作って自国を守るべきだとまで言い放った。だが日本はこれを全部考慮するわけにはいかない。日本に必要なのは堅実なパワーバランスなのだ。これもまた、日本がなんとしても対露関係を改善せざるを得ない、または少なくとも関係を悪化させるわけにはいかない一因となっている。」

おそらくはこうした理由から、アナリストらの中からはすでに安倍氏の真の狙いは4島返還よりもずっと野心的で、日本の完全な主権を奪還であるという指摘が挙げられている。日本は1945年以後、米国と戦略的同盟関係を結んだものの、実際は米国の地政学上の植民地の地位にある。これを安倍氏は日本が独立した国家となるよう導こうとしているのだ。そのために安倍氏に必要なのは憲法改正だけではない。対露関係を正常化し、うまく拡大していかねばならない。それが叶えば日本も米国-中国-ロシアというトライアングルの中でしっかり胸を張って独立した国としていられるのだろう。

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