中国に空母が必要になったのはなぜか?

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2016年12月26日、中国海軍の空母「遼寧」が率いる艦隊が、複数の国が領有権を争う南シナ海に入った。中国国営の新華社通信が報じるところ、今回の航行の目的は、遠洋訓練の実施にある。

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遼寧(りょうねい)は渤海で射撃訓練を行った後、沖縄本島と宮古島の間を通過し、沖縄から約100海里のところで台湾の東側を回り込み、ルソン海峡を横切り南シナ海に入った。日本の海上自衛隊は艦隊の航路を注意深く監視していた。菅官房長官によると、中国艦隊の動向は引き続き注視される。日本の危惧は理解できる。艦載機を乗せた中国空母が公海で確認されたのは初めてであった上に、空母航行中のある時点で、沖縄は当然、艦載機の射程範囲に入っていたからだ。

遼寧の艦載機は主に、ロシアの艦載戦闘機スホイ33と同様の性能を持つJ-15艦載戦闘機。そして、これはあらゆる艦隊に必要な演習というだけではなく、中国の軍事力誇示と、係争海域で軍事力を用いることができるという誇示でもあることは明らかだ。

12月16日、中国海軍が同海域で米国の無人潜水艦を奪ったことは記憶に新しい。無人潜水艦が拿捕されたのはフィリピン・ルソン島の西50海里で、中国が南シナ海で主権を主張する境界線「九段線」付近。短い調査の後、潜水艦はすぐに返還された。事件は解決したが、わだかまりは残った。なぜならこれは、南シナ海で集中的な偵察が行われていることを証拠付けているかもしれず、そうであれば、緊張の高まりが避けられないためだ。

さて、なぜ中国に空母が必要になったかだ。中国は経済、産業力に関わらず、ウクライナで未完成の空母「ワリヤーグ」を買うチャンスが現れるまで、長いあいだ、自前の空母を作ることができなかった。ロシアの空母「アドミラル・クズネツォフ」に類似するワリヤーグは、大連の港に運ばれて改修され、2012年9月には就役した。これで空母建設の経験を持つにいたった中国の造船業者は、同様のタイプの2隻目の空母建設に着手している。一方、公海での覇権争いのためには空母1隻を持ったところで、まして2隻ですら足りず、しかも中国東岸からの海への出口は、米国と日本を含むその同盟国の空軍基地によって遮断されているからだ。

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中国が空母を手に入れた理由はより控えめだが、少なからず重要な課題である、海上輸送の保護のためという可能性が一番高い。数年前、米軍事専門家の間で、中国の海上輸送の封鎖の可能性が検討されたことがあった。これは石油を主とする多数の原料輸入に依存している中国経済に、著しい損害を与えるはずだった。中国に入る船は主にマラッカ海峡を通るため、輸送をめぐる闘いの主な場は南シナ海だった。複数の国が領有権を争う南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島と、南シナ海の大部分における立場強化を中国が目指しているのもこのためだ。空母はこの主権主張の強化のためにも中国に必要なのだ。

このように、空母「遼寧」と現在、造船中の2隻目の空母には、攻撃的な作戦よりも、急激な情勢悪化や軍事紛争の際にリスクゾーンで商船団を護衛するためのエスコート船という役割が課されると仮定できる。いずれにせよ、中国政府には、自国の海上コミュニケーション保護のためにあらゆる対策に走る準備がある。

そのため、遼寧1隻では日本に対する脅威にならないものの、中国の空母艦隊発展とともに、状況が変わる可能性もある。3隻ないしは4隻の、完全に装備された空母でもあれば、米国とその同盟国に対する正面攻撃に用いられる可能性もあり、中国側はその攻撃で勝利することだって十分あるからだ。いくつかの情報によると、遼寧はJ-15艦載戦闘機30機を搭載できる。搭載機の数は、評価によって22機から36機と幅があるものの、空母「遼寧」が3隻ないしは4隻もあればそれによる大規模攻撃は著しい損害を与えるだろう。そして、日本の航空自衛隊と海上自衛隊の基地が最優先目標のリストにあることはよく知られている。

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