専門家の見解、北朝鮮の核能力はすでに「深刻な脅威」

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アシュトン・カーター米国防長官は、北朝鮮の核兵器は米国の「深刻な脅威」とする声明を表した。その際長官は、北朝鮮のミサイルが米国やその同盟国にとって脅威となる場合、米国はいずれのミサイルも全てを撃ち落とす方針だと指摘している。

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昨年8月に韓国へ亡命した北朝鮮の元駐英公使、テ・ヨンホ氏もつい先日メディアに対し、北朝鮮は2017年末には、米本土を攻撃する能力を持つ大陸間弾道ミサイルを開発を完了させる計画であることを明かしていた。

北朝鮮の核兵器と大陸間弾道ミサイルが米国と世界にとって果たして現実的な脅威であるのかどうかについて、ロシア人政治学者のドミトリー・ベルホトゥロフ氏は次のような見解を表している。

「私の意見では、テ氏の話はセンセーションにはならなかったが、これで北朝鮮の意図が真剣であることが確認された。数年前にはこのような報道は、北朝鮮にはこのような技術を扱えないという理由で作り話だとみなされていただろう。だが北朝鮮が一連の核、ミサイル実験を行なうと、最も懐疑的な論調であった専門家でさえ口をつぐんでしまった。北朝鮮は極めて迅速に技術水準を上げている。テ氏が北朝鮮のミサイル計画の機密情報を有していることはまずないだろう。おそらくテ氏は、北朝鮮の党、国家エリートの広い範囲に広まった核・ミサイル計画の部分を伝えたにすぎない。テ氏の話は北朝鮮が『標準の核弾頭を有している』ということであり、さらに、2018年までに大陸間弾道ミサイルとそのための核弾頭の開発が完了するということは、金正恩氏自身が新年の演説で発表していた。

2013年の段階ですでに、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルのプロトタイプの実験が全世界の目の前で行われており、北朝鮮には、打ち上げを成功できるプロトタイプを持っていることが示されていた。そのプロトタイプとは、ロケット「銀河8号」で、銀河8号は2012年12月12日、初めて北朝鮮の人工衛星の軌道投入に成功した。これがもともと軍事的な目的で設計されたことを示すのはその構造だ。ロケットの3段全てがそれぞれの段の上に積まれるよう配置されており、組み立てられたロケットは鉛筆を思わせる形をとっている。平和利用のためのロケットは普通、ロシアのロケット「プロトン」のように、第1段に2つから6つのロケットエンジンを持つ。こういう構造はすでに1950年末にはセルゲイ・コロリョフによって開発されており、専門書に記載されているため、この設計図をコピーすることは難しくない。ロケットエンジンは推力を高め、ロケットのペイロードを増やす。

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北朝鮮の設計者は意図的にこのシンプルで世に知られている設計図を採用しなかった。その理由はおそらく、ロケットがもともと軍事目的を持っていて、ミサイルサイロをベースに開発されたことにある。ミサイルサイロ内ではミサイルが側面に飛び出るいかなるロケットエンジンを装備することもありえない。私の仮説では、2013年の発射実験は多段式ロケットの主要な構成要素のひとつであるロケットの段の分離システムを実験するために必要だったのだ。地上でのチェックを何度行なおうと、システムの性能は実際に飛行せねばわからない。銀河3号には段の分離に問題があった。2009年4月には2段目と3段目の分離システムが作動せず、2012年4月には1段目と2段目の分離が作動しなかった。12月の発射ではこれらの問題は解決されており、北朝鮮は多段式ミサイルを製造する能力を持っていることが示された。

それだけではない。銀河3号は米国領土に核弾頭を余裕で飛ばす能力を有していると思われる。全長約30メートル、総質量最大91トン(正確な数値は明らかにされていない)と見られるこのミサイルは冷戦期の大陸間弾道ミサイルに匹敵するものだ。例えばソ連のミサイル「UR-100」は、全長16.7メートル、総質量42.3トン、ペイロード最高1500キロ、射程1万1000キロ。このミサイルを基に作られたのがロケット「ロコット」で、これは性能からいうと北朝鮮のミサイルにより近く、地球低軌道への投入能力は1560キログラム。北朝鮮のミサイル技術がより未熟であることを考慮したとしても、米国本土にミサイルを飛ばすことは2013年の段階ですでに可能だったと考えられる。

2016年3月、北朝鮮は弾頭用の断熱材製造に成功したと発表し、同年9月には、より強力な新型ロケットエンジンの地上燃焼実験を行った。開発完了がミサイルとその弾頭の実践配備準備完了と、少なくとも12の発射装置の就役を意味することは明らかだ。

つまり、米国は北朝鮮への敵対的な行為のお返しに本当に本土への核攻撃を受ける危険性があることになる。しかも、米国に飛ぶミサイルはロシアと北極海上空を飛び、韓国のTHAADシステムの迎撃範囲から遠ざかるので、韓国のTHAADがこのミサイルの迎撃に役立つことはないだろう。」

カーター長官によると、米国でもこの脅威は現実のものとして認識されている。2017年、米国と韓国は合同軍事演習の回数を増やす計画だが、これにはれっきとした理由があるのだ。

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