南クリルでの経済協力のどこに危険が隠されているか?

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今年2月7日、ロシアと日本の間の外交関係を確立した下田条約(露日和親、露日通好条約)が結ばれてから162年目を迎えた。

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安倍首相、南クリル諸島を巡る全国大会出席へ
この日、日本各地では「北方領土の日」の行事が行われた。この日は、ロシアと日本の間に存在する領土問題に世論の関心を向けさせることを、その目的としている。日本は、第二次世界大戦後、ソ連の構成体に入った南クリルの、クナシリ(クナシル)、シコタン、エトロフ(エトゥルプ)各島、そしてハボマイ群島を自分達の領土だと主張している。

72年もの長い間、領土問題は、露日間の平和条約締結及び、極東における経済交流発展の足かせとなってきた。2016年12月半ばのプーチン大統領の日本訪問後、状況は急激に変化した。この訪問をまとめる形で、ロシア経済に対する総額25億ドルの投資に関する68もの合意が調印され、また、これらの島々での共同経済活動問題討議開始に関する合意も達成された。

人口の少ない南クリルの4島に日本が投資することからロシアが得る利益は、少なくないと思われる。しかし、皆が皆そう考えているわけではないようだ。昨年12月の初め、ロシアの5人の学者や活動家が「互恵的協力の規範遵守について、厳しく監視する双方の書面による義務のない島の貸し出し」に関連し起こり得る危険性を指摘し、プーチン大統領あてに書簡を送った。先日スプートニク日本のアンナ・オラロワ記者は、この書簡に署名した人物の一人、ロシア自然科学アカデミー会員で、日本及び国際問題の専門家であるキリル・チェレフコ歴史学・哲学博士と懇談する機会を持った。氏は、露日関係に関する多数の論文を、これまで書いている。

チェレフコ・アカデミー会員は、露日間で68もの経済合意ができた事を「大きな突破口」と呼びながらも、島での日本人とロシア人の共同居住に関する安倍首相の発言に注意を促した。

チェレフコ:私は、インターネットで安倍首相とプーチン大統領の会談の速記録を読んだ。安倍首相は、会談の初めに、双方はすでに、この問題においてかなり前進したと示唆している。私は、共同居住という問題は最も複雑で難しいものと考える。日本人が観光ビザでやって来るのか、一時的な居住証明を得るのか、はたまたこの領土の住民として存在するのか、明らかでない。なぜなら、どのような領土に対する権利も、その住民に属するからだ。ロシアにとって最も肝心なのは、島々に対する主権を守り、そして協力を全面的に発展させることである。

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記者:島で、日本人社会を形成できるでしょうか?

チェレフコ:事実上、イエスだ。私はそこに危険性を見ている。ここに、我々の主権へ忍び寄る陰謀的なものを見てしまう。もし、これに関し、特別の合意が締結されないとしたら。日本人は、大変積極的に行動する。もし島に日本とロシアの同じ数の会社、68ずつの会社が生まれたら、日本側の積極性が、ロシアのそれを超えるだろう。

記者:あなたは、南クリルに日本人がやって来ることにメリットがあるとお考えですか?

チェレフコ:ロシアにとって必要なのは、これらの領土を完全に我がものとすることで、お金でも人でも不十分だ。合意が書かれたように、すべて誠実に行われるなら、メリットは相互のものとなる。もし我々の指導部が、積極的に行動するなら、我々は、クリルでのプロジェクトが実現されるよう、強く主張する。例えば、合意に従って実現されたサハリンでの原油プロジェクトのようにだ。実際上、漁業資源の開発や発展にも将来性がある。同時に、この地域の経済発展にプラスとなるだろう。

大統領宛の書簡の作成者らは、プーチン大統領の日本訪問前、外務省に、ロシア連邦憲法に従ってロシアの領土保全のための措置を講ずるよう訴える書簡を送っている。最後にチェレフコ氏は、スプートニク記者に、次のように述べた-

「米国のフランクリン・ルーズベルト大統領による南クリルのソ連への譲渡は、国際法上根拠づけられている(1739年のヴィタス・ベーリングによる遠征で島々が最初に発見されたことを根拠に)。そこでは当事者の義務はあらかじめ確定されており、それらから逸脱することはできない。」

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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