日常の賄賂がない日本で、なぜ政治家の汚職だけは繰り返すのか?

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国際的NGOである「トランスペアレンシー・インターナショナル」(TI)は毎年、各国の「腐敗認識指数」を発表している。指数が100ポイントに近ければ近いほどその国はクリーンで、0ポイントに近いほど汚職にまみれている。TIの話によれば、どの国も未だ100ポイントに達したことはなく、調査対象176か国のうち実に3分の2以上が、中間値よりも下に位置している、つまり腐敗が進んでいるということだ。日本は2016年のランキングで、72ポイントを獲得し、クリーン度20位にランク入りした。

世界的に見れば、これは十分に良い結果ではある。(ちなみにロシアは、悲しくも29ポイントでクリーン度131位だった)しかし汚職・収賄・利益供与のスキャンダルは、定期的に日本社会にショックを与えてきた。その主役となったのは国家機関の上層部の人々である。2014年、安倍第二次改造内閣にとって大きな打撃となったのは、同年10月に就任間もない二人の女性大臣が辞職に追い込まれたことだった。経済産業大臣だった小渕優子氏は身内のための不透明な支出を政治資金として計上しており、法務大臣だった松島みどり氏は自身の選挙区でうちわやカレンダーを配布していた。

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ごく最近の出来事で言えば、森喜朗元首相が週刊文春に対し700万円の損害賠償と謝罪広告を求めて提訴していたことがわかり、先月27日に第一回の口頭弁論が行われた。週刊文春が昨年9月15日号と10月13日号で、「森氏が自身の東京五輪・パラリンピック組織委員会会長という立場を利用して、自身に近しい企業が五輪施設建設を受注するように仕向けた」と報じたためだ。

そして政治家の利益供与に対する憤慨の波は、現役の内閣総理大臣をも巻きこんだ。ここ最近、日本のあらゆるメディアが取り上げているのが学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題である。同学園理事長である籠池泰典氏は、安倍首相の応援団とも言うべき民間団体「日本会議」の大阪支部役員であるという話もある。まだ不可解な点が多いこの一件だが、全てが明るみになるのは時間の問題だろう。日本の汚職問題について、元駐日大使で、現在はモスクワ国際関係大学の教授であるアレクサンドル・パノフ氏は次のように話している。

パノフ氏「もし『日常レベル』に話を絞るなら、普段の賄賂のやり取りは、日本では見られない現象です。もし何か問題があれば、地域の当該の役所と解決すれば良いのであって、それに対する追加の対価は要りません。このメカニズムはきっちりと機能しており、賄賂を渡そうなどという発想がわいてくること自体、あり得ないのです。それに渡そうとしたところで誰も受け取りはしません。しかしながら、権力者と大金の世界になると話が違ってきます。自身の地位を利用するという誘惑に打ち勝つことは難しいものです。誰かの利益を守るために、政治家が買収されることはよくありますし、官僚たちは、自分たちを『食べさせてくれる』特定企業とつながりがあります。企業は見返りに、情報などを受け取るというわけです。それが明るみに出て裁判になり、有罪になることもままあります。しかしそういったことは、大規模に行われているわけではない、と付け加えておきましょう。私の記憶では最も大きいスキャンダルは、故田中角栄氏のロッキード事件でした。この裁判は約20年にも及びましたが、田中氏はその途中で亡くなりました。」

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こうして振り返ってみると、クリーンなイメージの日本であっても、政治家の汚職、利益供与の話は枚挙に暇がないことがわかる。これについて「人間は歴史から何ひとつ学ばない」とユニークな指摘をしているのが、日本の大手予備校において、世界史のカリスマ講師である神野正史氏だ。神野氏は昨年6月、前東京都知事の舛添要一氏の汚職スキャンダルが世間を賑わせていた頃、「舛添都知事問題、今も昔も『汚職は割に合う』から無くならない」と題した記事を発表していた。今となっては、まるで予言のようなこの記事の一部を抜粋してご紹介する。

神野氏「目の前で汚職が行われていれば、感情的にその者に対する憎悪ばかりが膨らみ、これを非難する対立候補を支援したくなります。しかし、それによってよしんば汚職政治家を追い落としたところで、実のところ何の解決にもならないことを歴史が教えてくれています。一緒になって汚職議員を追い落とし、新たに政権の座に就いた対立候補自身が同じ(あるいはそれ以上の)汚職を繰り返すだけだからです。」

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