元祖ロシア産キャビアVS美と手仕事の宮崎産キャビア、食の頂上対決 【写真・動画】

© 写真 : JAPAN CAVIAR, Inc.宮崎キャビア1983
宮崎キャビア1983 - Sputnik 日本
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ここロシアでもキャビアが超高級食材になって久しい。ソ連崩壊後の乱獲・密漁によりキャビアの親であるチョウザメは激減し、キャビアの生産は現在も国家の規制対象になっている。キャビアの製造販売を行っているのは、「ディアナ」や「ラスカート」「ヤロスラフスキー」など、ほんの数社だ。ディアナ社は「ロシアン・キャビアハウス」というブランドで海外への輸出を行っている。

スプートニク日本

一昔前はキャビアといえばロシアだったが、サウジアラビア産やイスラエル産、イラン産など、国際市場はバラエティに富んでいる。そんな中、今月8日に日本の宮崎県産のキャビアが香港に初めて輸出されたというニュースがロシアでも注目を浴びた。とうとう日本もキャビアの輸出国になったのである。スプートニクは、宮崎県産のキャビアを製造・販売するジャパンキャビア株式会社の坂元基雄(さかもと・もとお)社長に話を聞いた。

チョウザメは今をさかのぼること34年前の1983年に、ソ連から日本にやってきた。日ソ間には漁業協力に関する協定があり、「海水及び淡水における生物の増殖及び養殖の技術及び方法の改善」が協定の項目に入っていたのである。しかしソ連側から養殖方法についての情報提供は全くなく、卵をとって稚魚をつくる研究からスタートせざるを得なかった。宮崎県では、長い歳月をかけて独自研究を行い、2004年に国内で初めてシロチョウザメの完全養殖に成功した。その後飼料やキャビアの熟成技術なども研究を重ね、ついに2013年、「宮崎キャビア1983」の発売へこぎつけたのである。坂元社長は「宮崎とロシアでは全く環境が違うので、たとえ養殖技術をソ連から教えてもらっていたとしても、宮崎に合った養殖方法を一から研究し直さないといけなかったでしょう」と振り返る。

© 写真 : JAPAN CAVIAR, Inc.ジャパンキャビア・坂元基雄社長
ジャパンキャビア・坂元基雄社長 - Sputnik 日本
ジャパンキャビア・坂元基雄社長

宮崎キャビアは、目下の輸出予定先が香港や東南アジアなどの近場であることもあり、添加物は一切使っていない。また、手先が器用な日本人の特性を生かし、ピンセットで丹念に不純物を取り除いている。この気の遠くなるような作業の結果、一粒一粒がきらきらと輝く、見た目も美しいキャビアができるというわけだ。味付けはごく薄く岩塩のみで、不純物がないだけに、純粋な卵の味が楽しめる。しかし不純物には、熟成の過程でアミノ酸を生み出し、キャビアに複雑な深みや旨みを出してくれるという側面もあるので、このあたりは好みの問題である。

宮崎県では県内15の養殖業者が一丸となって、宮崎キャビアというひとつのブランドを形成している。このため、高品質を守りながら生産量を増やし、事業規模を拡大することができた。昨年12月には新しい加工場もオープンし、高まる需要に対応しようとしている。行政も強力にバックアップしており、河野俊嗣(こうの・しゅんじ)宮崎県知事もキャビアのアピールに余念がない。

2016年のG7伊勢志摩サミットや全日空(ANA)国際線ファースト・クラスでも採用されるなど、宮崎キャビアは早くも確固たる日本のブランドとなった。坂元社長は「サミットのときは発売開始から2年半しか経っていなかったので、候補に挙がっただけでもすごいと思っていたら、採用されてびっくりしました」と話す。

昨年12月、山口県で行われた日露首脳会談のディナーでもふるまわれた。「とらふく刺・宮崎県産キャビア添え」である。プーチン大統領はそこで、自分の眼前にあるキャビアの歴史は、ソ連が宮崎県にチョウザメを提供したことから始まったことを知ったのであった。思いがけぬライバル登場である。プーチン大統領が心の中で、チョウザメを日本にあげたことを後悔したかどうかは、謎に包まれている。

東南アジアへの販売に加え、欧米などへの展開も計画されている。坂元社長は「ロシアのキャビアは本場のキャビア。私たちが作っているのは本場とは少し違う、日本風にアレンジしたキャビアです。日本人が美味しいと思うキャビアをこつこつと作っていって、それが海外で評価されれば嬉しいです」と意気込みを語っている。

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