「ロシアから見た日本」 週刊ダイジェスト4月24日から30日号、「クリルはロシアと日本の問題ではなくなる」

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1週間の初めの月曜日に、先週1週間にロシアで報道された日本関連のニュース、解説をダイジェスト版でお届けする週刊「ロシアから見た日本」。広いロシアをかけめぐる報道機関が日本をどういう視点でとらえているかを短い引用でご紹介。

スプートニク日本

4月24日から30日号は「ロシアと日本は平和条約の基盤を形成」、「クリルはロシアと日本の問題ではなくなる」、「クラスノダール地方と日本の山口県が友好協定を締結」の話題を中心に。 
先週の主な出来事は安倍首相のモスクワ訪問。ロシア議会は安倍首相のモスクワ訪問に迅速にコメントを出した。

最も複雑な問題も、ロシアの領土保全と国益には損害なしで解決可能

ロシア下院の国際問題委員会のメンバー、統一ロシア所属セルゲイ・ジェレズニャク氏は、ロシアと日本の首脳会談、そして達成された合意は、平和条約締結のための基盤形成の意図を真剣に確認するものと指摘。

ロシア下院では、ロシアと日本の指導部が、両国の発展と協力を阻害する長年の問題を共同で解決する道を探すために注ぐ大きな努力が見られえる。

ジェレズニャク氏は、「プーチン大統領は、最も鋭い2国間、国際問題の話し合いへの備えと、開放性の政策を取っている。ロシアは平和を促進し、関係発展のための新たな可能性を作るような協力に常に突き進んでいる」とした上で、「最も複雑な問題でさえ、ロシアの領土の一体性と国益への損害なしで解決することが出来る」、「ロシアの南クリルでの共同経済活動へと向けられた、ロシアと日本の指導部が採った一連の解決策と行事は、重みのある裏づけだ」と述べました。

プーチン大統領は会談で、日本が展望の明るいロシアのパートナー国であり、2国間関係で進展が見られると指摘。両首脳は南クリルでの共同経済活動の優先的なプロジェクトのリストを作成することで合意した。プーチン大統領は平和条約問題にも言及したものの、その解決策はロシアと日本の戦略的利益を満たし、両国民に受け入れられるものでないといけないとし、その文脈で、南クリルでの共同経済活動のテーマを話し合ったことを明らかにしている。優先的なプロジェクトのリスト作成を近々行うことで合意。

(レグヌム通信社、4月27日、「ロシアと日本は平和条約の基盤を形成」)

露大統領府報道官 平和条約締結を待たず、まずは協力関係を発展

「平和条約締結は、領土問題と関係している。領土問題はもちろん、ロシアと日本双方にとって容認できるような、何らかの調整の対象だ。ロシアも日本も、近ごろ、平和条約締結への出口を探す、強い政治的意志を表明しており、我々は、この政治的意志が遅かれ早かれ我々をこの重要な文書の署名へと導くことを期待している。それとともに、この文書が署名されるのを待ち、時間を費やす必要がないことをロシアと日本が理解していることを指摘するのは喜ばしい。最も広い範囲での問題と分野における2国間関係の発展と改善についての作業が活発に行われている。」

(4月27日、TV「スヴェズダー」局、ペスコフ露大統領府報道官の出演から)

日本を動かしたのは地域紛争解決のために必要となったロシアとの協力

社会・政治研究センター「アスペクト」のイリーナ・アルクスニス副所長はプーチン、安倍会談を評して「二国間関係の主な問題がこの数十年間で初めて、協力促進の邪魔をやめた。理由は単純。日本にはロシアの助けが必要なのだ」と語った。

アルクスニス氏は、両国関係の最大の痛点であった領土論争に、双方の顔を立てる解決策が見つかったと指摘。つまりロシアにとって共同経済活動は、「クリルは我々のものだ」という立ち位置の何も変えることはなく、日本政府にはこれが日本への領土返還プロセスの一環だと世論に発表することが出来るからだ。

クリル諸島では、軍事的プレゼンスが活発に伸張。諸島の領有権問題におけるロシアの立場が不変であることを強調、一方で、例えば、安倍首相のモスクワ訪問中に、魚やウニの養殖に関する共同プロジェクトで合意された。また、プーチン大統領は「具体的な協力の可能性を調べるため」、夏の南クリルへの日本の政府関係者の旅行を発表。さらに元島民の墓参のための航空便も運行される。この決定は経済的には互恵的。クリル諸島には大規模な日本、そして共同投資の展望が開き始めており、クリル開発のために必要不可欠な一押しを与える。

アルクスニス氏は一方で、会談のより興味深い局面は朝鮮半島情勢だと見ている。プーチン大統領と安倍首相が会談後の記者会見で、共同経済活動のテーマに大きな関心を割いたのは確かです。ロシアのウシャコフ大統領補佐官も会談の主たるテーマは朝鮮半島情勢だと語っていた。

半世紀以上にわたって、クリル諸島と平和条約の不在は両国間の大規模な相互関係と協力を強固に阻んできた。状況は日本の不完全な主権と、ロシアと日本の接近を望まない米国に対する家臣のような立場で一層複雑化。だがアルクスニス氏は現在、状況は劇的に変わったと断言する。

主な変化はロシアとの協力が日本にとって不可欠になったこと。その裏には日本が直面する一連の緊迫した問題がある。1つは地域紛争が武力紛争に移行する危惧感であり、南北朝鮮の対立はその1つにすぎない。またエネルギー資源不足も日本には未解決問題。日本に更なるエネルギー資源を供給するとのプーチン大統領の約束を日本政府が評価しないわけはない。安倍首相のモスクワ訪問の重要な成果はクリル諸島や平和条約を、長年巨大な「岩」のごとくふさいでいたロシアと日本の関係と協力の進展を2国間関係の重要ではあるが、原則的ではないテーマの1つに変えるための歩みが再び取られたことにある。アルクスニス氏はこう結論づけている。

(ビジネス紙「ブズグリャッド(視点)」、4月27日、「クリルはロシアと日本の問題ではなくなる」、社会・政治研究センター「アスペクト」のイリーナ・アルクスニス副所長)

クラスノダール地方と日本の山口県が友好協定を締結

ロシア南部のクラスノダール地方と山口県が4月26日、友好協定を締結。双方は貿易、経済、科学、スポーツ、教育、文化、観光などの分野における協力を促進する。

コンドラチェフ知事は経済的・友好的な関係の確立を期待し、「日本は地理的な距離としては遠い国だが、身近にすることはできる。つまり、我々の地域に住む人々がお互いの文化や伝統、習慣に親しめるような環境を作ることができる。クラスノダール地方のリゾート地へ日本からの旅行者を受け入れ、ロシアの製造業に最新技術を導入する用意がある」と強調。一方の山口県の村岡知事は協定が地域間関係の促進に向けた新たな刺激を生むと確信。

(クラスノダールの地方紙『農村新聞』の4月27日付、「クラスノダール地方と日本の山口県が友好協定を締結」)

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