ロシアにおける抗議運動は世界の他の国と変わらない?

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6月12日「ロシアの日」、ロシアの一連の都市では、主に汚職反対を掲げた抗議運動の波が、大きなうねりを見せた。こうした集会への参加者の数、そして拘束された人の数では、モスクワやサンクトペテルブルクは、ロシアのトップを占めた。中でも最も対決的様相を帯びたのは、非組織在野勢力の代表であるアレクセイ・ナヴァリヌィ氏が文字通りギリギリの時に、集会やデモの実施場所を変えるよう支持者に訴えたモスクワだった。彼は、当局が許可したサハロフ大通りではなく「ロシアの日」の祝賀の催しが計画されていたモスクワ中心部の目抜き通り、トヴェルスカヤ通りに繰り出すよう、人々に訴えた。

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その結果、マスメディアの中では、モスクワ中心部での抗議の行進に、およそ4-5千人が参加したと伝えたものもあったが、これらの数字は事実を正確に反映していない。なぜなら通りを歩いている多くのモスクワ市民の中で、誰が抗議行動参加者で、誰がそうでないのか見分けるのは難しいからだ。抗議行動参加者の中でも、スローガンを声高に叫んだり、プラカードを手に持ったりしていた人は少なかった。

Оппозиционный политик Алексей Навальный во время акции в Москве - Sputnik 日本
モスクワで開かれた無許可の反汚職デモの結果【写真・動画】
社会的紛争調整センターの代表で社会学者でもあるオレグ・イワノフ氏は「肝心なのは数ではなく、抗議の中心となるものの質だ」と指摘し「私達は、集まった人達の数字について、何か大きなものは見なかった。しかし、抗議行動には有権者のかなり積極的な部分が参加している事を、覚えておくべきだ。それゆえ当局は、どのような場合においても、起きている事に対応しなければならない。」

地方においてしばしば抗議行動の組織者となっているのは、地元の活動家達である。地元の権力当局が無視している何らかの未解決の諸問題が、彼らの抗議の理由だ。

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モスクワ中心部での抗議 - Sputnik 日本
モスクワ中心部での抗議

ロシアの政治学者ドミトリイ・グーセフ氏は「今回のような行動は、全体的な不安定化につながるリスクを内包している」と指摘し、次のように続けた-

「今日一人が、集会を利用している。なぜなら誰かが、彼を怒らせたからだ。明日には彼の場所に、他の人物が現れる。これは一種の自己再生構造で『雪だるま』式に拡大してゆく。」

行動する主な力となったのは、若者達だった。政府が決めた祝賀行事は、彼らにとってとりわけ魅力的なものとは言えない。彼らは、多くの否定的現象に我慢できずにいる。

経済・政治変革センターのニコライ・ミローノフ所長は「若者達は、もうそれほど政治化されていない」とし、次のように続けた-

「単に彼らは、たいへんエネルギッシュに行動し、注意を引き付けている。一部のグループにとって、特にモスクワの若者達にとって、ナヴァリヌィ氏は、ただ単に人気、彼らにとってのライフ・スタイルのようになったのだ。」

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モスクワ中心部での抗議 - Sputnik 日本
モスクワ中心部での抗議

また政治社会学研究所のヴャチェスラフ・スミルノフ所長は「今後ロシアで、抗議行動や集会参加者と警察隊との衝突が起きるだろう。そうした事は多くの国々で普通のことだ」とし、次のような見解を示した-

反体制派ナヴァリヌィ氏襲撃事件が刑事事件として立件 - Sputnik 日本
反体制派ナヴァリヌィ氏襲撃事件が刑事事件として立件
「抗議運動というものは存在する。住民のうち約10%は、行われている政策に積極的に不満を表している。しかしこれは、自然のプロセスであり、何もロシアばかりではない。今のところは、すべて許容範囲にある。しかし、もちろん権力当局は、まず第一に、現実的な汚職撲滅対策について考え、それを始めなくてはならない。」

では、もし権力当局が、抗議を怖がらないのであれば、何のために警察は、多くの人を拘束したのか? 今、多くの拘束者達は、15昼夜までの行政逮捕、そして罰金1千ルーブルから2万ルーブルの処罰を受けることになる。こうした事は、事態の悪化を止めないばかりか、あべこべに若者達の怒りに火をつけ逆効果になっている。

警察が、治安を守る義務があるのは言うまでもないが、今回の出来事について、社会学者のミハイル・ヴィノグラードフ氏は「当局に行き過ぎがあった」とし、次のように続けた-「権力当局には、集まった人達が、特別危険ではないことを示すチャンスがあったが、それを逸した。国家の祭日に、いろいろな人が混じった群衆の中で、警察が集会などを解散させたことは、当然ひどいことだ。まして警察が、人々を乱暴に解散させ逮捕しなければ、抗議行動参加者自体の間でさえ、抗議は失敗だったとの感じが生じたろう。ドライブは決まらなかった! 警察自身が、抗議行動に意味を与えてしまった。テレビ映えするシーンを用意してしまったのだ。しかし事実は、社会の中に、様々な原因により生まれた不満も含め、多くの爆発できずにいるエネルギーが溶け込んでいるという所にある。権力当局は、その事を熟慮しなくてはならない。」

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モスクワ中心部での抗議

ロシアのプーチン大統領がこの事についてどう考えているのか、6月15日、大統領は、生放送で直接、自分の考えを述べるだろう。

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