プーチン大統領 南クリルに関する態度を改めて強める

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ロシアのプーチン大統領は、領土問題に関するロシアの立場の強硬さを証明する国民向けの発言を行った。この種の発言は、すでに6月に入って2回目だ。

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6月1日、世界の情報通信社の指導者と会見した際、プーチン大統領は「日米安保条約を根拠に米国の軍事施設が置かれる脅威がある事に関連して、南クリルの主権の日本への譲渡は、原則としてあり得ない」との立ち場をはっきりと示唆した。

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プーチン大統領は南クリルの主権を日本に渡すつもりはないのか?
そして15日、ジャーナリストらとの懇談で、プーチン大統領は、さらに強硬な発言を行った。大統領は「島々における日本との作業のためには、この問題に重荷を負わせるものもある」と指摘し「まさに、この地域も含めた、安全保障の諸問題は、自分の同盟国に対する日本の義務である」ことを確認した。大統領の判断によれば「すべては、検討の際に、大変な綿密さと熟慮が求められるとても繊細なことである」。プーチン大統領は「この作業がどのように進むか次第で(共同経済活動に関する作業:筆者)最終決定が下されるだろう。これについて語るには、今のところ時期尚早だ」と確認した。

別の言葉で言えば、プーチン大統領は、南クリルに関し妥協がなされた場合、まずロシアの安全を保障する問題について討議するよう提案しているのである。大統領は、自分にとって主要な問題に関し、まずはっきりさせることを欲し、その後で初めて、南クリルでの共同経済活動プロジェクト上でなされる歩み寄りの形態に関し交渉する用意があると考えている。現在、安全保障問題の文脈の外で、そうしたプロジェクトの実現を開始するのは「時期尚早だ」というのが、大統領の意見だ。

その際、共同経済活動に関する交渉そのものは、取りやめになるわけではない。このことは6月8日に、マリヤ・ザハロワ外務省報道官が明らかにしている。

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ザハロワ報道官は、次のように説明している-「その実現化が南クリルの島々の社会的経済的発展を促すような、一連の具体的提案を打ち合わせようとの日本側の回答提案を考慮して、計画されている。その後で我々は、日本側と、それらを実現する法的枠組みを話し合う用意がある。」

プーチン大統領は、来年2018年3月の大統領選挙への出馬について、公式に発表はしていないが、彼が立候補し、再選されるであろうことを疑う向きは少ない。

その一方で、対日関係のきわめて繊細でデリケートな問題に関し、おまけに一般のロシア人にとってはあまり理解されていない問題について、かくも強硬な立場を、単に有権者向けというだけの理由で示したとの説明も正しくない。恐らく大統領は、平和条約をめぐるロシアと日本の交渉の行方を注意深く見守っている米国や中国政府にも、聞いてほしいと考えたのだろう。

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プーチン大統領が、ここ最近、島々をめぐる交渉のコンテクストの中で安全保障に関する条約に絶えず注意を向けるのは、恐らく、領土問題が、北東アジアにおける安全保障の新しい構造についての考えを進める「てこ」になると捉え、関心を抱いているのだろう。「東方転換」を口にする中で、プーチン大統領は、経済力の不足を、政治的影響力を持って代用にすることができるかもしれない。

「北方領土」と交換に日本が米国との軍事同盟を放棄するなどと期待するほど、プーチン大統領は単純ではない。他方プーチン大統領には、非現実的な条件を持ち出すことで、安倍首相との交渉を失敗させたいと思っているような気配もない。

いずれにしても、日本政府は、ロシア大統領の立場により明確に反応するようになるだろう。すでに3週間後には、G20の場でプーチン・安倍会談が予定されているのだから、なおさらである。

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